ニューヨークにおいて開催されたパペポの追跡番組。『スーパーテレビ』 は当時人気の単発ドキュメンタリーで、白岩氏を半ば主役に据えたような仕上がりとなっているほか、歴代の大ホール・パペポや、漫画トリオ・横山パンチ時代の上岡氏の映像、噂の「鶴瓶メモ」が、わずかながら見られる貴重な一本である。『火垂るの墓 の独り語りに挑戦した上岡氏と、三代目春団治氏との一席に望む鶴瓶氏などの舞台裏、そして肝心要のニューヨーク・パペポまでの道のりを、上岡氏に疎まれつつも密着取材している。余談ながら、関西イントネーションに慣れた方にとって、ナレーションの「鶴瓶」と「パペポ」の発音は少々耳に痒く聞こえるかも知れない。
(パペポについて、ダウンタウン松本人志氏に聞く)――「僕はね、やっぱいまだにフリートーク上がる前って、やっぱり少なからずもコワイんですよ。今日こそ…とんでもない、なんにも起これへんことになるんちゃうかみたいな。…それを敢えて何年もやるっていうことはね、そらやっぱりねえ、他の芸人よりもねえ、あのー、努力してると思いますよ…それは」
(カメラに鶴瓶ちゃんの人物評をするナンチャンに一言)――「ナンボ言うてもなあ、放送されないって。五月から付きまとてんねんけど、いまだにオンエアないねん…」
(鶴瓶ちゃんの語る、上岡龍太郎の人隣りについて)――「師匠はね、まあ、これ誤解を恐れずに言いますと、普通の人なんですよ。ホントにそのへんを絶対に守って欲しいという人なんです。だから、極端に言うと、芸は見せるけども、素は見せない…。ドキュメンタリー撮るということは大前提で分かってるけど、でも、素で撮られるっていうことを凄く、イヤがらはるんです…」
(パペポの三人目の男と紹介された、プロデューサー白岩氏の鶴瓶・上岡評)――「二人はね、やっぱりね、それはねえ、本当に一番ベストな相手やと思うねん、俺は。この世界で。上岡さんも鶴瓶を、鶴瓶も上岡さんも、ベストな相手やと思う。ベストな相手やから、常に 100 点とって欲しいのよね。そしたらねえ、ちょっとつまづいただけで怒ってることなんかあるもんねえ」
(スーパーテレビのディレクターを、酒の席に招いて。※だいぶお酒も入っているようです)――「今その前に身障者と、ずーっとサインしたりしてんのよ。俺そんなん撮られんのイヤやけど、まあええわと。そんなん、撮られてるときにそうやってると思われんのもイヤやから。昔からそうやねん。でも、見た人は、撮られてる時しかそうしてないと思われるわけや。これは世の常や」 , 「もっと言うとテレビなんかどうでもええねん。ほいじゃあ、一時間腹抱えて笑わしてと言うて、できるか言うたら、できる自信あるからやっとんねん。よっしゃあ分かった、ほんならちゃんと聞けよ、一時間笑わしたるから。それができるか、できないかや。今すぐやで? 今すぐそこへ、隣へ集めて、笑わしてくれ言うたら、俺はいつでも笑わしたるわ。どんな笑わし方や、と。腹抱えてか? ベタか? シュールか? 全部やったる。それできたらそんでええねん…。それできないと、テレビでやる小手先のことなんて知れたこっちゃ !!」
(三代目春団治氏の鶴瓶評)――「身の回りのこと喋ってね、確かにお客さん惹きつけてる。それを上手くやっぱり鶴瓶の落語にお客さん引っ張り込んでるんですね。本ネタに入っても、その、鶴瓶のやり方でやってるというんですかな。…師匠の教えてもうた通りキチーッとやってたら、これは全然離れてしまうと思うね、お客さんは」
(ニューヨークにて。白岩氏を前に語る)――「でも俺今日なあ、飛行機乗りもってなあ、俺入門したときこんなニューヨークで喋るなんて考えたこと無かったのに、ある時からニューヨークで喋りたいと思もたって言うてたやんか前に。だから、思もたことはすぐ現実なんねんなあ…」 , 「でも俺はノック先生に憧れて、横山ノックになりたいと、思もたんやけどなあ…」
(中山秀征の語る、上岡龍太郎)――「自然にその会話に入って、なおかつその中にフリがありオチがありみたいなね、流れでやってかなきゃいけないですから、やっぱり僕にとってはその、喋る中での展開の師匠ですよね、はい」
(スーパーテレビの取材に怒った上岡が、カメラを止めさせた後に語ったという言葉)――< こない劇場の入口でカメラ回したら客に迷惑やろ。カメラは暴力や! 何でも撮ってええと思うとんのか !! それやったらケツの穴まで見せたろか!! それ撮ってみい… >
(上岡プロモーション遠藤氏が、スーパーテレビのディレクターに語った上岡氏の人物像)――「 "こんな人なんですと言われたら、僕は隠し倒すよ" と。"こんな人ですと言うテレビ番組やったらね、僕は実像を隠し倒すよ"と。基本的にドキュメンタリーを信じてない」 , 「全然判らへん…。地雷やと思う、地雷…。どこ踏んだら爆発するか判らん地雷」
(スーパーテレビのディレクターを前に、今後の取材の方向について語る)――「極端に言うたら、今日の舞台稽古の撮影も本当はイヤなんです。僕らの世代論やと思うんですが、もうカメラあるとねえ、自然に振る舞えないんですよ。例えば今ここにカメラがあるとしますよね。それ用の笑顔を作り、それ用のコメント言うに決まってるんですよ僕は。だから本当に僕に内緒でドッキリカメラやないけど隠しカメラでやってる分にはね、これはしょうがないと思うんですよ、僕はホントに正直に」 , 「作っている自分を誰かに見られた時の恥ずかしさを考えるとね、いてもたってもいられない。良かれと思われるか、逆に偽悪趣味で変に振る舞うかどっちかなんですよね。それやってる自分がイヤなんです。恥ずかしがりやからね、もうそんなことするぐらいやったらね、もうケツの穴見せたほうがええし…」
(横山ノック氏の上岡評、そしてパペポ評)――「理屈っぽいとこあるよ。アレは芸ですわ。芸、ひとつの理屈っぽさも。怒るのも芸。泣く芸もありゃあ笑う芸もありゃあ、怒る芸あってもエエやないかい、と。ひとつの芸ですよ」 , 「パペポやるたんびにネタ無しで、打ち合わせ無しで、それであれだけの会話をして。そんな凄いことは無いんで」
(ニューヨーク市街での取材を頼まれた龍太郎師匠は…)――「カメラ撮られるの? 僕はそんなトコでの取材お断り。一般の人の前でカメラの前に姿さらすなんてとんでもや。イヤイヤ…」 , 「なに喋るの? パペポがぶっつけみたいに見えへん。終わったあと! 終わってからやったらね!」
(その言葉を聞いて、白岩氏が一言…)――「その都度その都度ちゃんとした理屈出てくるなあ…」
鶴瓶「ハーレムの少年たちが、唄とてる所に遭遇したんですよ」
上岡「ほお」
鶴瓶「見はった人いてまっか?
グワーッて、最後に、なんかノミ掻く踊りみたいな……
俺もワーッてノッってたら、
みんなで全員でノミ掻いて、パッと止まりまんねん」
上岡「 (^^) ……」
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