No.123 は、後にパペポ史上「バンクーバー事件」と呼称されることになる、鶴瓶ちゃんがカナダパシフィック航空に散々な目に遭わされたお話。大筋では、飛ばない飛行機に留め置かれたり、降ろされたり、空港で長時間待たされたりといった出来事である。それ以外にも「機内で無線を使う若者」など、飛行機にまつわるイライラトークを挟み、ほか、「パラグライダーが説明できない!!」、「ツメがはがれそうになりました」、「進化するなら魚と貝、どっちになります?」でエンディングへ。
(バンクーバーにて。言葉が通じない…)――「俺が喋られへんのに、日本やったら向こうが英語で語りかけてきたら、なんかわからんけど英語で答えたろか思うでしょう。こっちは日本語で言うとんのに、ベラベラベラーって。アホちゃうか思もて。いや、バッグ、ここ、あと、むこう、って、インディアンみたいになってねえ。そこでノロシ挙げたろか思もたがな」
(飛行機の機内食)――「アレよう食事さしまんなあ、ブロイラーみたいに…。"おかわりいかがですか" って、いらんっちゅうねん !! 俺は座ってて肥えんのイヤやねん!! ほんでクッサいチーズ出しやがって、いらん言うたら怒ったような顔しやがって…いらんねや !! 俺は食えへんねんもん !!」
(飛行機内でトランシーバーを使う若者を叱ってやった)――「なんでアカンか知らんけども、みんなアカン言うたあるやないか !! なんでかワカラン。せやけども、こんなもんがイロイロ混じったらヤヤコシイやないかい !!」
(魚に生まれるのと貝に生まれるのどっちがいい?)――「そらそうやで、アホやで貝みたいになるヤツ。そんなもん、生涯行けたって、そこぐらいやわな。貝なんて "私明日死にますけど"… "生まれたんどこですか? " … "そこです" って」
(飛行機なんかコワイに決まってる)――「コワイからあんまり乗らんがな僕。飛行機に乗った瞬間に、僕はもう落ちてもいいですというつもりで乗ってるから」
鶴瓶「 "まだ何にも言いまへんのかいな" 言うたら
その人も日本人や。
英語の分かる日本人はその人だけや。
――いや、全然まだ何も言わないんですよ。
俺ももうアタマきたから。
こっちに居てる赤ちゃんなんかもグッタリしてるわけや。
上岡「ホンマやったらもうハワイ着いてる時間や」
鶴瓶「着いてる時間や。
で、俺もバーッと起きて。寝起き俺も悪いから
(ガイジン相手に) "ちょっとちょっとオッサン !!
どないなっとんねんこれー !! どないなっとんねん !!
シックスオクロック、ずっと長いんや !! 」
上岡「 (^^) ……」
鶴瓶「 "シックスオクロック、ずーっとオマエ
どないなっとんねんコラァ !! " ――」
上岡「雰囲気でわかるわな」
鶴瓶「 "どないなっとんねん ?! " って言うたら
英語わかる日本人にね、"ちょっと通訳しなはれ" 言うたら
その人が、通訳も、ニコーッと笑いながら
どうのこうのって言うてる。
――ちゃうねん、俺が怒ってんねんから
怒ってるように通訳しなはれな、と。
"あのなあ、コレもうハワイ着いてる時間やないかい。
どないなっとんねん! ほんで日本語喋れるヤツ
連れてこい !! せやろ。さっきでもオマエ
スペイン語と英語と喋っとるけど
日本人こんだけ乗ってるのに、オマエが日本来たら
みんな日本語で喋るやないかい !! アホオ !!
連れてこい !! …通訳しなはれ! " ――」
上岡「 (^^) 」
鶴瓶「――やってるわけや。
"オマエ大体なあ、こんだけ待たしてやで
見てみいこの赤ちゃん。赤ちゃんも
グッタリしてるやないかオマエ。
どないすんねんこんな子…ええ? 判断せえよ。
飛べへんねやったら飛べへんで構へんわ。
ホテル用意するとか
ちゃんとしたれや !! …通訳しなはれ! " ――」
上岡「 (^^) ほお」
鶴瓶「――ほんでもう寝たんや。頭きたから」
上岡「またロビーで」
鶴瓶「ロビーで。ほんなら困っとんねん
マストレアーニ似の係員が。通訳の人が言うには、
"僕にはわからない。飛行機に聞いてくれって
言うてます" って俺に言いよんねん」
上岡「おお!」
鶴瓶「俺アタマきて !! ―― "何言うとんねん !! "
"いや、僕は言うてない、この人が言うてます! " と。
そんなことな ?! オモロイこともなんにもあるかアホォ !!
こっちは線キレとんじゃ !! …言うたれェ !!」
上岡「 (^^) 」
鶴瓶「言うて、俺も寝てもうたんや。
ほんならカナダ人はみんな、俺が怒ってるいうの
分かってるわけや。
ほんなら今度、その英語喋れる日本人がそばへ来て
"鶴瓶さんが怒ったから、行動を起こしはじめました" と」
上岡「おっ! やるもんやなあ!」
鶴瓶「もうそのロビーは俺ひとりじめや!」
上岡「ヒーローや、ヒーローやと」
鶴瓶「 "で、どないなったんやー" 」
上岡「 (^^) 」
鶴瓶「言うたってん。
もうこっからは一つも英語使いませんでしたで」
上岡「………。
"こっからは" って、ここまでも使こてへんやないかい !!」
鶴瓶「 (^^) いやいや、シックスオクロックを言うたやないかい…」
上岡「ああそうか… (^^) 」
鶴瓶「汗だらーっと出る。
とにかく本でも読もうと思もて
――で、俺こんど映画出まんねん。
映画ね。『東京上空いらっしゃいませ』 いうてねえ。
今度三月に封切るやつですわ」
上岡「ほお」
鶴瓶「 『東京上空いらっしゃいませ』 いうて
それ読もうと思もて、ばーっと見たら
俺の役がねえ、死んだ人を納得させる役。
……アカンアカン。納得せえへん納得せえへん……
納得なんかせえへんわえ! とにかく頑張ってくれ !!
なんか見るもんないかと思もたら
横に小説があったから。ふっと見たら
向田邦子の小説や。
…この人、飛行機事故で死なはった…
アカンアカンもう !! どないすんねんこれー !!」
上岡「歌でも口ずさまなしゃあない。
♪上を向〜いて〜……」
鶴瓶「 (^^) …アカンアカン !!」
上岡「風船は何やねん…」
鶴瓶「風船って、空気入ってんのちゃうのん?」
上岡「…うん」
鶴瓶「なんか、俺を諦めたな?
なんか、涙目なって "…うん" って」
上岡「 (^^) 」
鶴瓶「うちのオカアちゃんよう言うてたわ。
―― "怒られてるうちが華や" 言うて」
鶴瓶「小さいモンが大きなることは、できるやんか。
頑張って、仰山食べよったんやヤモリが。
蝿もう、めちゃめちゃ喰いよってん」
上岡「…ヤモリて蝿喰うの?」
鶴瓶「蝿かなんか喰いよるんやろなあ。
蝿か蜘蛛かブワーッと喰うて
食い過ぎたヤツがワニなりよったんや」
上岡「…… (^^) 」
鶴瓶「となりのヤモリはずーっとヤモリやってんけど
"あんたこの頃大きなりましたなあ…" と。
"なあんや背中に、オカキの割れ目みたいの
できてきたけど…。うわ、大きならはった…。
――どこ行きまんねん !! "
"川っ !! " とか言うて…」
上岡「 (^^) ……」
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