元木大介とドラフト指名

上岡「みんな "阪神は元木とらなんだ" って言うやろ。
元木は、まあ、ここだけの話ですがね」

鶴瓶「ここだけの話って、これ東京までいってますがな」

上岡「元木は肩こわしてる」

鶴瓶「アンタなあ、無茶いいなはんな。見たんかえ !!」

上岡「僕はこうみえてもねえ
プロ野球の内部の人と親しい人もおんにゃから」

鶴瓶「エライことを言うてますよー。
元木君にとっての将来のことでっせ？」

上岡「そうやー」

鶴瓶「そんなねえ、少年の心を
傷付けるようなこと言いなはんな !!」

上岡「元木は肩こわしてる」

鶴瓶「いわばミニーマウスを襲そてるようなもんですよ？
ねえ！ 子供たちの夢のあるものを、こっち来い言うて
どっかでガーッて……。そんなことしてどうすんねん！」

上岡「元木は、上宮高校で
ドラフト前に記者会見したとき、どう言うたか知ってるか？」

鶴瓶「知らん」

上岡「 "巨人しか行きません" ――」

鶴瓶「行きません言うてたよー」

上岡「 "もしも巨人の指名がなければ
社会人か、アメリカへ留学します。一年待ちます"
――こう言うてたんや」

鶴瓶「言うてた、言うてた」

上岡「ところがドラフト当日の朝の新聞では
巨人が元木指名する、あるいは、中日も
元木いくかもワカランという情報があったんや。
現に報知新聞なんかそう書いてあったんや。
巨人は一位指名は元木、もしハズレたら大森。
中日も元木一位指名。ハズレたら余田。こう決めてたんや」

鶴瓶「うん」

上岡「ほいで、ドラフト当日や。元木ジーッ…と見とった」

鶴瓶「おお」

上岡「まず、パリーグの最下位からや。
ロッテ……野茂。大洋……野茂。
日ハム……野茂。阪神……野茂。ずーっと野茂や」

鶴瓶「野茂や…」

上岡「 "まあこのぐらいまでは野茂やな" っと
　元木は安心しとるがな。
"俺の指名ない、俺の指名ない…"
　中日……元木ときたら、元木にしたらイヤやがな。
"中日に指名されたらどうしよう" と思ってると
　中日が、ハズレ一位のほうと予想された余田を
　バーンと一位指名や。"よしっ！ " と思ったがな、元木は。
　――で、近鉄……野茂や。
　巨人……くるかなー… ?! と思ったら――
　大森 !! 慶応大学や……。
　そこで元木どうなったと思う？
　それまで張り詰めてたのに "ええっ ?! " ――
　ガクンッ……。あれで一回目肩こわしてる」

鶴瓶「………。」

上岡「次や。野茂ハズレた下から、また
ロッテ、大洋、日ハム…。"阪神くるかなー" って
思もてたがな！ 元木にしたら !!
阪神が…… "違う違う、葛西、よしっ！ " と思もたら
ダイエー……元木 !! ガクンっ !!
あれで二回肩こわしてる。
もう使いもんならん、あんだけこわしたらアカン」

鶴瓶「…… (^^) 」

上岡「ダイエー、田淵くん言うとくよ。元木は使いもんならん」

鶴瓶「あのなあっ !!」

芸人もドラフト制にしたらどうだろう

鶴瓶「我々に何かやってくださいいうのに
いちいちドラフトかけられて……」

上岡「 "はいっ、玉造商店街に決まりましたっ！ " て。
…… "オレ、鶴橋いきたいねん！ " とか」

鶴瓶「玉造商店街の会長が来はって
"どうしてもウチに来てもらいたい" ……」

上岡「僕は最初から言うてるように
鶴橋しか行かんと言うてるんです！」

鶴瓶「いや、まず交通費は、六千円は出します！」

上岡「京橋までなら手ェ打ちますが
玉造はイヤなんです！」

鶴瓶「……そんなこと言いなはんなっ！
喋ってもらうギャラとして
六千円に上乗せして――」

上岡「いやあ、ナンボ上乗せされてもダメです」

鶴瓶「二十万はどうでしょう ?!」

上岡「…… (^^) ダメです」

鶴瓶「そうだと思って、二十万あとここに用意して
これで、鶴橋とのギャップを埋めてもらいたいっ！」

上岡「あなた、そういうねえ、人の気持ちを
オカネで左右さすような、そういうやり方というのを――」

鶴瓶「さきほど言いましたタクシー代六千円の件ですけど
あと四千円増やして一万円ということで！
これで来ていただくということで手ェ打っていただきましょう！」

上岡「……四十一万円ですか？」

鶴瓶「四十一万！」

上岡「………」

鶴瓶「鶴橋は一体、あんたにナンボ出す言いなはってん！
（泣きながら） …たのんまっさ !!
荒物屋の大将に頼まれてきてまんねん！
お願いしますわ !! ええっ ?!」

上岡「玉造は遠いですから。地元にこだわってますから」

鶴瓶「……大きな大きなワゴンに
上岡来店と書いて派手に花火を打ち上げると
これでどうでしょうか ?!
荒物屋の大将に頼まれてきてまんねんっ !!」

上岡「鶴橋は五十万」

鶴瓶「…あんなあ。
アンタ、無いことで時間とるな言うのに
えらい喜んではんなあ」

上岡「 (^^) 」

鶴瓶「もうええ加減やめるかな思もてんのに
えらい喜ぶなあ、カネの話なると……」

上岡の父・小林為太郎弁護士

上岡「ウチの親父っちゅうのは、もう弱いもんの味方。
社会的な弱者の味方。

鶴瓶「……なんでそんな親父から
こんな弱いもんの敵が生まれたんや……」

上岡「せやから、頼みに来るのいうたら
労働組合、学生運動、部落解放同盟、朝鮮総連。
もうそんなんばっかりやもん。
虐げられたモンばっかりでしょう。
ほんで、刑事事件が主でしょう。
弱者の味方。民事なんかあらへんでしょう。
民事でもたまにあったら、家あけ訴訟ね。
"先生お願いしますわ、ウチの家追い出されそうでんねん。
　私らあと三年は住めんことには……"
"よーしやったる" と。――で、勝ったら
"良かった、お前らあと三年住めるから！ "
"住めるから" っちゅうとこ応援してどうすんねん。
"追い出せ" いうほう応援せな。
追い出せいうほうやったら
"先生お願いします、アイツら追い出してくれたら
　跡にバーンとビル建てますんで、お礼のほうは
　充分さしていただきます！ "
そっちのほうに "追い出せー" って、やって
"出なければいけない" っちゅう風に判決が出たら
"これで思い切ってビルが建てられます！ " って
"先生おおきに！ " って、ガッパァーと儲かるわな。
ウチの親父なんかは
"三年間住めるようになりました！
　ありがとうございます！ " って言うて
一升瓶一本持ってこられてもなあ。
アンタ一升瓶でええけど、わしら子供どないすんねん」

鶴瓶「よろしいやんか！ そのほうが！
何にも悪いことしてへん泣いてる人を追い出して
カネ儲けよるより、そんなカネ要りまへんやろ！
親父は一生懸命弱いもんの味方してんのに！」

上岡「せやから俺は強いもんの味方すんねん」

鶴瓶「…あのなあ !!」

上岡「ハッキリ分かった、親父見てて。
強いモンの味方したほうが楽やっちゅうの！」

龍は実在の生き物か？

上岡「あの 【竜】 の字は子供のほうや。タツノオトシゴのほうや。
僕の 【龍】 は、ちゃんと
雲を呼び、雨を呼び、風を呼んで、空へ駆け上がる龍や」

鶴瓶「あんなもん無いもんやろ？」

上岡「あるがな！ 昔はあってん！
知らんからそんなこと言うてんねん。
無いもんがそんな絵になったり人々の口に伝わるか？」

鶴瓶「あれはやねえ、なんかワカランもんやけど――」

上岡「何を言うてんねん…。
昔は飛んでたんや、ビュンビュンビュンビュン」

鶴瓶「…… (^^) 」

上岡「君、トキ見たことあんのか ?! トキ !! 飛んでんの！
昔はおってんで、日本に。いっぱいトキやったんや。
トキの記念日っちゅうのできたぐらいや」

鶴瓶「………」

上岡「トキだらけ。でももう絶滅しかかってんにゃ。
あと一羽しかおらへんっちゅうてる」

鶴瓶「トキが？」

上岡「うん。ニホンオオカミも
もうおらんようなったっちゅうねんで？」

鶴瓶「どこ行ってまんねん、ニホンオオカミ」

上岡「どこ行ったって、死んでもうたんや全部。
だから昔は、龍もおったんや。
中国とか日本ではビュンビュン飛んでた。
やかまーしっ !! っちゅうぐらい飛んでたんや」