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新銀河帝国/初期帝室

皇帝ラインハルト・フォン・ローエングラム
皇族 データ

■金髪の覇者、立つ
ローエングラム朝・銀河帝国の皇帝。後世「獅子帝」と呼ばれる覇者。性格は横暴なように見えて繊細で正義感や義務感が強く、ずば抜けて覇気も強いがそれも親友・キルヒアイスの支えがあってこそ。社会的不公正を強く憎み、保守派貴族たちの挑戦には皮肉をもって応える強さを持っていた。姉をフリードリヒ4世に奪われて以来ゴールデンバウム体制の転覆を志し、キルヒアイスと共に軍人として覇道を往くが、上からのあだ名は常に「金髪の孺子」。破竹の立身出世も「皇帝からの姉の寵愛あってこそ」と嘗められていたが、ロイエンタールが認める通り「敵がそれに遠慮する理由はない」だろう。カプチェランカ、軍務省官吏、憲兵隊、ヴァンフリート、第6次イゼルローンと赫々たる武勲を重ね、第4次ティアマトでは小集団を率い同盟軍を大混乱に陥れると、皇帝からローエングラム伯爵家を与えられ実家・ミューゼルを捨てた。生まれが悪いせいか爵位を得ても生活は質素そのもので、しかしそれが逆に、後に興るローエングラム王朝を合理的で簡素なものにしている。
■最後の対決
姉の立場のせいで敵からのみならず味方からも狙われるのが特徴だが、キルヒアイスと組んで戦場潜む刺客の全てを抹殺、彼らは一度として敗れることは無かった。しかし同盟の智将・ヤンにだけは幾度となく苦汁を舐めさせられており、ラインハルトの側としても、彼に対してのみは純粋に戦って勝つことを自らに課していたようである。故に彼の訃報を知ったときの落胆ぶりや半端なものではなく、ヤンこそがこの青年の寿命を縮めたといっても過言ではない。アスターテで勝利、元帥の称号を得ると、同盟の帝国領侵攻への対応を一手に引き受け、焦土作戦でこれに勝利。帝国軍三長官の座に君臨するも、リップシュタットでは腹心中の腹心・キルヒアイスを失うという補いようも無い打撃を被っている。それからというものライバル・ヤンにこそその代価を求め、第2次ガイエスブルグ、ラグナロックを巻き起こすも、天下分け目のバーミリオンではあろうことか戦術面で敗北。しかし「敵方政府によるヤンへの停戦命令」という、切れ味悪いながらも戦略面における勝利には恵まれ、凱旋した彼は皇帝の冠を得た。こうして悲願のゴールデンバウム王朝の打倒と帝国の簒奪をやってのけると、今度は社会改革に邁進。それでもヤン撃破への魅力は棄て難く、彼の逃亡を知るや大親征の軍を興して同盟領土を完全併呑した。
■夢をみる皇帝
勢いに乗ってイゼルローン包囲を進めるも、夢枕に立ったキルヒアイスの忠告によってヤンとの和解を決め、彼が暗殺された後は軍を返し、更なる社会改革に邁進。フェザーン遷都によって新体制を磐石なものとするが、病によって24歳の若さで倒れた。彼を倒した者の名は「ヴァリアビリテートウ・フルミナント・コラーゲネ・クランクハイト」。「医師にかかって必ず助かるものなら、病気で死ぬ者はおるまい」とは、実にけだし名言であろう。最終話のタイトルに「夢、見果てたり」とある通り、正に彼の人生は自らが錯覚するほど壮大かつ儚いものであった。死の直前、彼は共和主義者の残党・ユリアンとは和解しているが、皇帝としてラインハルトが志したものは旧王朝下の不公正の破壊であり、生前ヤンが語ったよう、二つの体制の共存は可能であるに違いない。皇妃ヒルダとの間にプリンツ・アレクをももうけ、ゴールデンルーヴェはまだ光を失ってはいない。艦隊旗艦はブリュンヒルト。歴代座乗艦にヘーリッヒ・エンチェンタンホイザー。所属艦艇にワレンシュタインケルンテン

「キルヒアイス、俺を誉めてくれ !!」
「お前が学校の教師になったら、心を傷付けられる生徒はその学校にいなくなるだろうな。きっと」
「お前は……優しいな」
「嘘をつくなミッターマイヤー……卿は嘘をついている!キルヒアイスが、私を置いて先に死ぬワケはないんだ !!」
「私を倒すだけの自信と覚悟があるなら、いつでも挑んできて構わないぞ」
「腹の探り合いも時には良いが、毎回そうではいささか胃にもたれる」
「12年前のあの頃に戻れたら、そしてもう一度やり直せたら……俺にとって世界は、もっと明るく暖かいもので有り得るだろうか?」
「そうだ、これが欲しかったのだ……」
「行こうか、キルヒアイス。俺とお前の、宇宙を手に入れるために……」
「私には他の生き方はできないのだ……」
「勝ち続けて、勝ち続けて、最後になって負けるのか。キルヒアイス、俺はここまでしかこれない男だったのか」
「我に余剰戦力なし、そこで戦死せよ。言いたい事があればいずれヴァルハラで聞く」
「私は勝利を譲られた……。情けない話だな。私は本来自分のものではない勝利を譲ってもらったのか。まるて乞食のように……」
「ビッテンフェルトの言や良し !!」
「もしヤン・ウェンリーに敗北することがなければ、予は不老不死でいられるのだろうか」
「堅固だな……まるであの老人の精神のようだ」
「違うな。勝利か死かではなく、勝利か、より完全な勝利か」
「これだ !! これでなくてはな !!」
「アイツは死んでまで俺に意見する……お前はいつもそうだ。俺よりたった二ヶ月早く生まれただけなのに、年上ぶって。
 いつも俺の喧嘩を止める。今の俺はお前より年上なんだぞ?お前は年をとらないからな……」
「撃つがよい !! ラインハルト・フォン・ローエングラムはただ一人で
 それを殺す者も一人しか歴史には残らないのだからな !! ……その一人に誰がなる ?!」
「ルッツはよく予を見捨てずにいてくれたものだ……」
「見せて貰おう、ヤン・ウェンリーの後継者の手並みを!」
「俗な名だ、ジークフリードなんて……」
「卿らに誓約しよう!卑怯者がローエングラム王朝において至尊の座を占めることは決してないと !!」
(人には相応しき生と死、か……)
「ここまで生き残った者たちには、最後まで生き残る資格があろうから」
「自分は何でもやれる、友人と二人で宇宙の全てを征服できると思っていた」
「予はフェザーンに帰る。予を待っていてくれる者たちが幾人かいるのでな。最後の旅をする価値があるだろう……」
「夢を、見ていました。姉上……誰も見たことの無い夢を、充分過ぎるほど」
「もう私には必要がなくなりました。姉上に差し上げます。
 そして、キルヒアイスもお返しします。ずっとお借りしっぱなしで、申し訳ありませんでした」
「良い子だな、フェリックス。これからもアレクと仲良くしてやってくれ」
「宇宙を手に入れたら……みんなで……」

ジークフリード・キルヒアイス上級大将
軍幹部・高級将校 データ

ラインハルトの副官にして護衛役、後のローエングラム軍副司令官。そして、何より彼の唯一の「友」。幼きおり隣に家に引っ越してきたラインハルトと知り合い、その姉・アンネローゼからの一言、「ジーク、弟と仲良くしてやってね」に従い、以来無謀なラインハルトを支えながら武勲を重ねてきた。姉を奪われたことをきっかけに国家転覆を志すラインハルトにとっては唯一の共謀者で、所構わず暴言を吐く彼をよくたしなめる。しかしその物腰の柔らかさは「野心家の腹心」という姿を全く想像させず、オーベルシュタインのみが彼を「用心深い方だ」と指摘するに留まっている。ラインハルトに並び射撃・白兵戦に優れ、カプチェランカや各戦線での副官・保安主任任務など、死の危機を共にすることも一度ならず、愛する友と、彼を託してくれたアンネローゼのため、命を賭して献身的に活躍した。上からは付録として軽視されてきた彼だが、カストロプにおいては単身敵勢力を撃滅、コミック版ではビッテンフェルトから実力を訝しがられる場面もあったが、ベーネミュンデ絡みの事件でその信頼を得た。何より敵手たる同盟相手には、帝国領侵攻の際に輸送艦隊を撃滅せしめ、アムリッツァにおける数個艦隊を率いての副将という形でその実力を示している。しかし唯一彼を「子分」と侮っていたリッテンハイムだけは、五万隻を擁しながら八百隻のキルヒアイスにコテンパンにしてやられており、遂に彼を正当に評価する事は無かった。ラインハルトを信頼・補佐する彼は、彼同様に正義感も強く、ラインハルトの語る通り「分身」も同様、傲慢な貴族どもを憎む点においては、平民の出である以上彼よりも強かったかも知れない。その特別な地位をオーベルシュタインに危険視される彼だったが、悪党の代表格・ブラウンシュバイクに勝利した後、ラインハルト殺害を企むアンスバッハの仕込み銃に倒れる。アンネローゼと交わした昔の誓いを守り、彼こそがラインハルトを皇帝にしたのだ。後に提督たちも彼の善良な人格を惜しみ、人事面での不快があるたび「ジークフリード・キルヒアイスが生きていたなら」を口にしており、ラインハルトという天才と、才ありながらも「普通の人」が多い諸提督たちとの緩衝材としては、前にも後にも彼以外存在しえなかったのである。また敵ながら同盟の面々にも受けが良く、ヤンは彼の死を「古くからの親友を失ったような気分になった」とさえ語っていた。彼とラインハルトの「様付け友人」関係は我々から見れば不自然極まりないものだが、アンネローゼという存在と三角形で眺めた場合、「そういうこともあるかも知れない」と感じられる。死後、ラインハルトが彼に与えたものは帝国軍三長官の地位と墓碑名の「マイン・フロイント」。つまり、「我が友」だった。艦隊旗艦はバルバロッサ。所属艦艇にブロッケン。装甲車にパンツァー VI

「やるかも知れない、この人なら……」
「誰かに対して気の優しい人間でも、別の誰かに対しては冷淡にも残酷にもなれるんだよ。母さん」
「以前は、このベッドが世界の半分をしめるほど、大きく感じられたものだがな」
「今、この時、結構幸せかも知れない」
「そりゃ残念でした」
「女々しいだけです」
「それと、アンネローゼ様にお伝えください。ジークは、昔の誓いを守ったと……」

アンネローゼ・フォン・グリューネワルト伯爵夫人
皇族

物語の始まりともいうべき存在。ラインハルトの姉。幼き折りは事故死した母の代わりとして弟を守り、彼からこの上ない信頼を寄せられる。また隣家に引っ越してきたキルヒアイスからも慕われ、当時口にした「ジーク、弟と仲良くしてやってね」は青年の人生を変えてしまった。平凡な日々を送り、家事を義務兼・趣味として少年二人を見守ることが永遠に続くと思われたある時、彼女は宮廷官吏に見出されて皇帝の下へ送られると、その美しさから一番のお気に入りとなる。しかし貧乏貴族の娘ということで蔑まれ、皇帝の寵姫ということで嫉視にさらされと、伯爵夫人ながら苦労多き日々を過ごしてきた。ヴェストパーレやシャフハウゼンといった僅かな友人が僅かに緩和させてはくれたものの、姉をこの境遇から救い出さんと奮闘する弟が出世するに従いベーネミュンデからは幾度となく命を狙われ、その排除までにはラインハルトの努力と長い年月が必要となった。さて皇帝が死に、自由の生活を取り戻す彼女ではあったが、密かに好意を寄せていたキルヒアイスを失うと、弟と離れた上で山荘に篭もり隠遁者を決め込んでしまう。ヒルダが訪れた際には「私は罪深い女です」と語り、赤毛の青年の死を自らの原因と、自責の感情を露としていた。その後ラインハルトの結婚式に際してはフェザーンに渡り、更に弟の死が近付くとヒルダと共に看病をして過ごしている。弟最期の日、キルヒアイスの遺髪の入ったペンダントを「返された」彼女は、一体どのような心境であったのだろうか。

「疲れたら、私のところへいらっしゃい。でも、アナタはまだ疲れてはいけません」

皇后ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ
皇后・寵姫 データ

マリーンドルフ伯爵家の令嬢。オーディンの大学を卒業後、帝国を二分する内乱に遭遇。対応に悩む父に自らの考えを披露して、ラインハルトに味方することを伝えた。以降は彼の傍らにあって秘書官として活躍し、政務、軍務、アンネローゼに関する私的な内容でとラインハルトを、ひいては帝国を支える。数ある才能の中でも特に洞察力に優れ、ただの武闘派軍人を思わせるラインハルトが真に狙っていた政治改革の内容を一早く察知したり、ラグナロックの時点でロイエンタールの危険性に勘付いたり、民主国家におけるヤンの限界を見抜いたりと、優れた政治的センスを披露してラインハルトを助けた。兵を指揮する事こそ遂に無かったが軍事的センスも上々、ラグナロックには中佐待遇、回廊の戦いでは中将待遇で幕僚総監まで勤めると、バーミリオンではラインハルトの窮地を救って「一個艦隊の武力に勝る」とまでその才能を賞賛されていた。しかしこれら優秀な才能を持つ反面ラインハルト同様に天才ならではの弊害を持ち、趣味などの面では極めて重鈍。少女時代から「かわいくなくていいもん」と口にして他の貴族たちとは趣味を等しくしなかったという。もちろんラインハルトやハインリッヒへのいたわりに冷たさは無かったが、やはり私生活が一切見えないという面では彼女もラインハルトも変わったものではない。後にそのカイザーから皇后として迎えられると、アレクを産んで国母となった。ラインハルトの死後は摂政として七元帥を任命、アレク成人までの間、銀河帝国を預かる事となる。どうでもいいが、コミック版の彼女は猫目でメッチャ可愛い。

「活気に満ちた時代が来そうね」
「カイザーは病死なさったのではありません。命数を使い果たして亡くなったのです。病に倒れたのではありません。
 どうかそのことを、皆さん、忘れないで頂きとう存じます」

皇帝アレクサンデル・ジークフリード・フォン・ローエングラム
皇族

ローエングラム王朝の第2代皇帝。ラインハルトとヒルダの間に生まれた。「プリンツ・アレク」と呼ばれる。自らをかばい、結婚することすらなく逝った友を偲んで、この赤ん坊には「ジークフリード」の名が与えられている。父帝の死により生後二ヶ月で帝位に就いた。

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