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機動戦士ガンダムZZ

ハマーン戦争

レビュー

『Z』を眉を顰めながらも観ていた元来のファンを、完全にガンダムから引き離した作品。無論「良い意味でも悪い意味でも」ではあるが、どちらかというと切り捨てられることが多いのがこの作品である。ちなみに私は以前「ZZはガンダムシリーズの調味料として観れば楽しめる、たまにはこんなのがあっても良い」と書いていたが、これは十作十色にして多種多様なガンダム作品が出揃ってからの意見であり、リアルタイムでこの作品観た世代の方々、特に「濃ゆいファン」の方にとってはこれは「ウザイガンダム」以外の何物でもないだろう。ちなみにあのラポート社ですら、大事典の発刊を諦めたほどである。ストーリーは単純明快。前作の中半に突如として出現したジオン軍の残党「アクシズ」が、『Z』における戦いにより弱体化した連邦軍を切り崩していくというのが当初の流れ。後々主人公を優位に話は展開してゆく。

エゥーゴ

ティターンズとの戦いにおけるダメージの回復もできぬまま、アクシズとの対決に持ち込まれた大戦二年目のエゥーゴ。正規軍として認められはしたものの、ブレックス准将やシャアといった指導者層を失い、組織の錆び付きを現すメッチャーのような人物が登場したのでは、前途は難とも多難だ。

ネオ・ジオン

0081、一年戦争に敗れたジオン軍残党が、小惑星アクシズに到着。0083、王女ミネバの摂政に就いた指導者ハマーンは、地球圏への帰還を目論みデラーズ・フリートに艦隊を派遣した。後にシャアをスパイとして送り込むも、これは失敗している。0086、地球圏への帰還を開始。0087、漁夫の利を狙って連邦の横っ腹に斬り込み、ジオンの再興名としてネオ・ジオンを自称する。翌年、ダカール占拠。共倒れの連邦を制するもグレミーの反乱に遭い、更に翌年、ハマーン戦死を以って壊滅する。

ジュドー・アーシタ

ニュータイプ・強化人間 ジャンク屋の少年。シャングリラで屑鉄集めをして生計を建てていたが、偶然入港してきたアーガマに出会って運命を変える。以来執拗にZガンダムを狙い、カネに換えて妹を山の手の学校に入れてやろうとしていた。しかしその妹が「修行のためにエゥーゴに入れ」と説得、彼もそれに従うことに。どうやら彼の優先順位は妹のほうが上らしく、グレミーにさらわれた彼女を救い出すために敵艦に潜入、あのハマーンと銃撃戦まで繰り広げている。しかしお互いの心まで感じ合えるこの美しい兄妹も近くの人間にしてみればとんだ迷惑者で、明らかに死んだ彼女の気配を感じては仲間たちを気味悪がらせていた(実は本当に生きていて、木星に旅立つ際に再会を果たすことになるのだが)。ガンダム史上最も明るい主人公に、悲劇的な決別などは似合わない。その後は木星と地球の間を行き来し、偉大なる長征4.2光年(勝手に命名)の果てに人類にとって限りなく大きな足跡を残したというが……。
「ニュータイプの修羅場が見れるぞ!!」

リィナ・アーシタ

一般市民・非戦闘員 ジュドーとは正反対の出来のイイ妹。兄やその仲間たちに説教することも多々、あろうことか彼らに「街で泥棒まがいのジャンク屋をやるよりアーガマで戦ったほうが良い」という無茶苦茶な意見を呈したりもしていた。そののち彼らと共に乗艦、しかし戦いの最中グレミーに捕らわれたために上流階級の教育を施され、ダカールの舞踏会でデビューさせられてしまう。そしてその夜、戦闘に巻き込まれて死亡したかに思われていたが、セイラによって奇跡的に助けられていた。幼いながらも兄・ジュドーの成長を健気に願っており、「木星へ行く前だというのに死んだはずの自分が出ていくと兄の決心が鈍る」という理由で会うのを躊躇っていたが、セイラの説得で無事再会を果たしている。若いジオン兵を感動させるほどの気丈で気高い態度は、野生児の兄も見習わねばなるまい。ちなみに戦後の行方は不明である。
「誰が頼んだ!?」

ビーチャ・オーレグ

一般兵・パイロット シャングリラ組の中でリーダー格をつとめる少年。態度はジュドー以上にデカくて無礼、その上どことなくズル賢い。一度は食べ物に釣られてアーガマに乗り込むが、待遇の悪さに腹を立ててエンドラに寝返り。しかしそこでは以前以上に酷い待遇で扱われ、結局は逃げ帰ってきた。翻る機を伺うのは天才的だが、結果に直結していないのが可愛い。その後の活躍により仲間からも認められ、遂にはネェル・アーガマの艦長代理まで任されるに到った。悪い時分はモンドとつるみ、改心してからは一途にエルを想う。彼ら全員が、熱いシャングリラ魂の持ち主なのだ。戦後は再びジャンク屋を営んでいるという。エルとの関係はどうなったのだろうか? 「シャングリラ魂だ!!」

モンド・アカゲ

一般兵・パイロット ビーチャと共にシャングリラでコソコソと活動していた眉毛のブッといジャンク屋少年。彼同様にズル賢くて打算的、子供のクセに妙に現実的な性格だが、根っからの悪人ではない。反省するタイプのねずみ小僧といった風。ビーチャと共にアーガマを裏切った際も、決して自分たちをこき使った艦を苦しめようとしたワケではなく、ただ単に楽して儲けたいという理由からだった。どうもシャングリラ魂というのはこれのような気がしてならない。そんなコスイ彼だが、ムーン・ムーンで出会ったラサラとの恋、そしてその死を乗り越えて大きく成長。戦後は以前と同様にジャンク屋で働き、相も変わらずゲモンたちとは揉め事が絶えないようだ。

イーノ・アッバーブ

一般兵・パイロット ジュドーと共にジャンク屋で生計を立てるシャングリラの少年。ガンダムチームの一員として活躍、コアトップなど戦闘機のパイロットを勤めていたが、実際にはほとんど戦わずにドッキングが済めばさっさと離脱する川相タイプの人。ヤンチャ(古い表現…)揃いの彼らの中では一番マジメで温和な性格をしているが、それと同時に印象も薄い。ナヨった雰囲気通りに戦いを苦手とし、メカマンとしての腕に優れる。即席でZザクなんてものを作り上げてしまったこともあった。その他アーガマのブリッジクルーだけでなく、女装や仲間のなだめ役などソツなく何でもこなす。

エル・ビアンノ

一般兵・パイロット シャングリラ組の紅一点。ジュドーらと共にアーガマに乗り、ブリッジで通信士を勤めていた。非番の際は洗濯などの雑務も。しかし人間が足りなくなってくるとパイロットとしてMkIIに搭乗。可変MS全盛のこの時代にありながら、いつまでもアレに乗るという気合の入り様を見せた。明るく活発的、陽気で開けっ広げ、何でも「いいの、いいの!!」で済ませる軽い性格だが、それ故にどことなくオバサン臭さがついてまわり、チャームポイントのファンキーさが掻き消されている感も。ジュドーに気がありその関係でよくルーとイザコザを起こしていたが、ビーチャに好意を抱かれていることに気付くと最後には彼とくっつく。戦後はまたジャンク屋稼業で食べているようだ。

ルー・ルカ

一般兵・パイロット アーガマに派遣された新人志願兵。Zガンダムがお気に入りの美少女パイロットだ。「青地に流れ星」のパイロットスーツを愛用、ガンダムチームの最年長者としてジュドーのお目付け役となるも、歳が近い上に彼に気があることの照れ隠しから反発。シャングリラ組とは一線を隔して見せる。また水面下では彼を巡ってエルとも仲がヨロシクなかった。生粋の軍人であることから上官に対する態度は至ってマジメ、己の青さを棚に上げてジュドーを説教する場面もあったが、彼女のほうこそイマイチ成長があるのかどうか疑わしいような気もした。その他そのルックスからグレミーやジュネにも好かれるが、グレミーに到っては涙を呑んで彼を狙撃、殺害までしている。戦後はジュドーと共に木星へ渡ったが、数年後のジュドー曰く「逃げられた」とのこと。それでも更に暫くして帰ってきたらしい。
「あー、嫌悪感!!」

マシュマー・セロ

中級司令官・艦長 「ハマーンさま命」を誓う、サイド1方面軍司令。恭順を要求するために遠征、1バンチのシャングリラへ胸にバラをぶら下げ降り立った。しかし原住民の頑強な抵抗というかパイロットとしての実力はあるクセにコイツが間抜けだったために失敗、キャラの派遣もあって降任させられる。その後は今までの失態の責任を問われて強化人間に改造、精神の均衡を失いつつ(というかむしろマトモになったような気もしなくでもないが)アーガマやグレミー軍にぶつけられ、多大な戦果を挙げた。最期はスペース・ウルフ隊と交戦、ラカンによって葬り去られる。極端な理想主義者で騎士道を重んじる性格のため、それを貫かされる部下たちの気苦労は並のモノではなかっただろう。どうやらハマーンとは幼年期に一度ゲーセンで出会っているようで、その際の彼の勇猛ぶりに心惹かれての今の地位らしい。――何だその軍隊。
「ハマーンさま、万歳ァァィッ!!」

キャラ・スーン

中級司令官・艦長 失態続きなマシュマーの監視役としてハマーンが送り込んできた、これまた重度の人格破綻者。通称「ネコ目のキャラ」。(キャッツ・アイ?)MSに乗ると頭がオカシくなってしまうらしい。胸ひとつでマシュマーを黙らせ、ゴットンを丸め込み、ジュドーとも親交を深めていた。しかし男は畳めても戦果は少なく、ハマーンの命で強制送還、強化人間にされてしまう。それゆえ精神は極めて不安定で、ジュドーを見ると急に昔の人格に戻ったりもしていた。ロイヤルガードとしてニー、ランスと共にハマーンを護衛するも、グレミーのニュータイプ部隊と戦って死亡。ガンダムシリーズ屈指のバストサイズを持つ女傑だったのに、残念。ちなみに戦前はアクシズで街のチンピラをやっていた。北爪漫画のワンシーンとして、主戦派のアジにほだされて戦争再開の署名を集める彼女と、それを断ったロベルトを「オッサンサイテー」と罵る場面がある。

エルピー・プル

ニュータイプ・強化人間 グレミーのもとで作られたニュータイプ。強化はあまり施されておらず、ナチュラルなボケっぷりが魅力。実はグレミーを兄として刷り込まれていたが、波動が似ていたことからジュドーと兄を勘違い。懐いた上に土足でアーガマにまで入り込んでしまう。後に更なる強力な洗脳を施され、大気圏突入を試みるアーガマに攻撃を掛けるが、摩擦熱と消滅の恐怖によりグレミーの呪縛から解き放たれた。ジュドーを慕う余り、彼を独占するために彼の妹・リィナを殺そうとするような危険な一面もあったが、普段はおフロとチョコパフェが大好きな可愛らしい少女だった。しばらくアーガマと行動を共にしたのち「自分のいっとう激しい部分だけを取り出した存在」プルツーと戦って命を落とす。一説によるとキシリアのクローンらしいが、プルも成長したらあんなカンジになるのだろうか。「兄を殺した妹」のクローンが、戦場で「お兄ちゃん」を慕って奮戦するというのは、一体どんな因縁なのだろう……。
「……ぬるい」

ハマーン・カーン

政治家・指導者 マハラジャの後を継ぎ、わずか16歳でミネバの摂政に就いた奇跡のニュータイプ。その才能はフラナガン機関で覚醒、政治的長として、軍事的長として、一国一城の主となる。就任後はアクシズを率い、ザビ家再興と打倒連邦のため地球圏に帰還。連邦の内乱に乗じた上でほとんど戦力を消耗せずネオ・ジオンを興すが、その真意のほどは不明だ。どうやらザビ家に復讐をしたかったらしいが、しかし今となっては矛盾ばかりが出てくる謎の多い「副総帥」である。戦略的な面においてもそれなりの力をもち、せいぜい3万程度のアクシズ人民を率い、その人口数十億からなる各サイドを制圧した上でのダカール降下、そして「恐怖を植え付けるため」だけのコロニー落しと大規模な軍事行動を多々為していることからしても有能な指揮官であったのは間違いないのだが、政治家としての彼女が創ろうとした「新たな時代」というものの革新性については怪しいものがある。配下の軍団長から側近に至るまで美形の青年将校たちやヒッピー少女で統一したあたりも、なんだか戦争を趣味の延長線上でやっているような気もしないが(グレミー一派が抜けた後のハマーン軍には、強化しすぎてアタマのおかしくなった指揮官しか残らなかったあたりも)、しかし目指すものがどうあれ、連邦を気圧して故地・サイド3を奪還。ところが空にしたアクシズを拠点にグレミーが反乱を起こすとその対応に追われ、結局はエゥーゴ、かつてのカミーユ以上の才能をもつジュドーによって倒されることになる。その最期は自殺ともとれる。結局、たかが一隻の戦艦相手にしてアクシズという組織は勝ち得なかったのである。ちなみに彼女の姉はドズルの側室で、妹は後の親善大使。前者は既に病死しており、ゼナにマハラジャにその人にと、アクシズには何かとんでもない悪病が蔓延していたようである。『エース』のロリハマーンの今後に期待。余談ではあるが、ハマーンの死後、連邦艦隊を容易にサダラーンに踏み込ませ、そこに本物のミネバが居なかったことから考えれば、あるいはハマーンのラストフライトの直前、大規模な離反があり、それらが新生ネオジオンの母体となったとも推測できる。イリアなどは、あらかじめシャアやカイザスらの引き抜きを受けていたのではあるまいか。ロンドベルの目が光る戦役後、ルナツーを陥落せしむるだけの戦力を難民コロニーから得られるとも思えないため、いわばハマーンは、シャア・ネオジオンを生み出す肥やしとして、元カレの掌の上で踊っていただけなのではあるまいか。
「人は生きる限り独りだよ……人類そのものもそうだっ!!」