新機動戦記ガンダムW
オペレーション・メテオ
これまた『G』同様、宇宙世紀ガンダムとは別の可能性を模索した価値ある作品。どことなく聖矢やらトルーパーやらを思い起こさせる五人組は、みな美形の少年たち。ハッキリ言って『G』以上に変人揃いのこの作品だが、刻一刻と変わる政局やそれに翻弄されるレジスタンスの少年たち、そしてそれに相対するライバルと、やはりストーリーが面白い。女性のアニメファンがターゲットだったようだが、元がガンダムということでさほど媚々になることもなく、よくヤオイ同人誌で掘られているようなメジャーキャラクターよりも、ライバルなどにこそ理想の人間像が描かれている気がしてならない。この作品は従来のガンダムサーガとは全く別の世界設定で作られ、黒歴史によって全てが肯定された現在ですらどこに挿し込んでいいのかよく分からない作品である。しかし芯の部分は結局ガンダムなので、お固いタイプのガンダマーも是非一度はご覧あれたし。
コロニー革命軍
カーンズのオペレーションメテオを奪った、科学者たち率いる組織。規模的には小さく、ガンダムパイロットたちやその身辺者など良識派の集まり。ホワイトファング閥の科学者たちや、ハワードやサリィといった旧連合閥、竜紫鈴やマグアナック隊などの義賊などもこれとして扱う。
ホワイトファング
かつてのヒイロの同志・カーンズ率いる地下組織。連合からの脱却を図るコロニー市民によって結成される。地球を必要としない世界を作るため活動、オペレーションメテオの一環としてガンダムを派遣するも、科学者たちによってシナリオを書き換えられた。しかしロームフェラ財団の混乱に乗じてOZのトレーズ派と結託。ミリアルドを指導者として戴き、リーブラ強奪やバルジ攻略を経てその覇権を確立するも、リーブラ投下により壊滅した。
地球圏統一連合
133、設立。紛争調停のための安保理的組織。地球圏統一を標榜としながらも、その武力はコロニー弾圧に対して用いられた。バックに欧州貴族の連合体・ロームフェラ財団を抱える陰謀の中枢。コロニーへの野心を巡らせる彼らであったが、ノベンタ元帥の迎合姿勢に揺らぎ、トレーズやデルマイユの暗躍によってOZへと取って代わられる。
OZ
175、結成。ロームフェラ財団の尖兵で、連合を内から食い破る「ティターンズ」。トレーズとレディアンのコンビが率いる。後にトレーズ崇拝派とロームフェラ旧体制派に分裂、前者はホワイトファングと結託し、ツバロフ率いる後者を排除。しかしミリアルドの転身に際してトレーズは再起。彼との一騎打ちによって地球圏の雌雄を決せんと考えるも、トレーズ自身がコロニー革命軍に倒されたことで実現しなかった。
ヒイロ・ユイ
L1コロニーに生まれ、Dr.Jによって育成された最強の戦士。以前存在した革命家と同じコードネームをもち、本名は不詳。幼い頃より軍の活動に参加し、その美形っぷりからは想像できないほどの殺人を繰り返してきた。感情も無いに等しく無口で無愛想、任務遂行のためなら自爆だろうがお構いなし、しかも強化によってそれでも生き延びる不思議くん。そんな人間味のない彼だったが、他のガンダム乗りやリリーナとの出会いにより「心」を手に入れ、この戦争に闘う意味を見出すようになった。その後の激動の時代にはさしたる活躍もなかったが、最終幕にやっとこさ登場。ゼクスと死闘を繰り広げ、リーブラを完全に破壊した。戦後はいずこかに潜み、デキムの反乱においては敵首脳をシャトルごと殺害。更なる後も、行方だけは常に不明。きっと携帯も圏外だろう。ちなみに彼のこの冷たく突き放したような性格が同人誌描きのお姉ちゃんたちのハートを掴んだらしいが、「お前を殺す」の一ヶ月後には「お前を守る」になってしまうほどの柔軟さには正直閉口。
リリーナ・ピースクラフト女王
どことなくキツイ目付きに揃った前髪、そして世俗離れした口調と旺盛な好奇心、典型的、または古典的ともいうべき御嬢様。ドーリアン外務次官の娘として育てられるが実はサンクキングダム王国の遺児で、実父・義父両人の遺志を継ぎ完全平和主義を唱える。しかしそれもOZによって一時潰えるが、デルマイユの脅しにより財団の代表の座に就き再起の時を待つ。そして力を蓄えるや彼を蹴落とし一気に組織改革、一時はトレーズにその座を奪われるもあくまで主義は曲げず、ヒイロを見守りながら人々を終戦へと導いた。戦後はドーリアン姓へと戻り、外務次官として平和国家の建設のために尽力、デキムの反乱に際しては演説によって民衆に訴え、この鎮圧に成功している。実はゼクスの妹でもあり、主義の導くまま奔放に活動する彼にはほとほと困らされていた。こんなお膳立てバッチリの彼女が、雑種のヒイロのどこに惹かれたのかは今以て不明。
トロワ・バートン
L3コロニーの出身らしいがそれすらも怪しい、コジコジのジョニーくんのような謎だらけの少年。どうやらこの名すら本名ではないらしく、劇中記憶喪失になる以前から既に記憶の大半が削げ落ちていたらしい。「自分は戦うためだけに存在している」と認識し、その勝利のためなら命ですら容易く投げ出す。冷静沈着というより感情がほとんど無いようで、表情も変えず、しかもその能力はメンバー随一という恐ろしさ。一歩間違うと殺人マッシーンに変わってしまうような危うさを持っていた。作戦発動後はバートン財団の御曹司を騙って地球に降下、かの地でキャスリンと出会い、生きる意味・戦う意味を手に入れる。感情を手に入れた彼は決死の覚悟でカトルを説得、一命は取り留めたものの、その際に記憶の一切を失ってしまった。キャスリンに導かれてサーカス団に参加、ピエロ姿でライオンと曲芸をしていたが、戦いの衝動に駆られて戦場に帰還。後にリーブラに潜入し、MDのコントロールシステムを破壊する。戦後は彼女と共にサーカス団に戻ったが、デキムの反乱には自らスパイとして敵地に乗り込んでいる。
カトル・ラバーバ・ウィナー
L4コロニーの富豪・ウィナーのもとに生まれたボンボン。平和論者の父と対立してオペレーション・メテオに参加、旧知の仲であるマグアナック隊に助けられながらも、パイロットとしての天性の才能を発揮することで任務を遂行している。穏やかな性格にして言葉遣いも丁寧、そのうえ芸術面にも才能を持っていた。あまり戦闘向きとはいえないが、コイツはキレるとマジに危ない。かつては弱腰の父に反発してコロニーを飛び出したものの、武装化を望む民衆が父を殺すやコロニーを破壊!!しかしトロワの説得により正気を取り戻し、以来民衆や彼を傷付けてしまったことに自責の念から人類愛にひた走るようになる。そして危険な任務と知りつつにリーブラに潜入、弱ったその心をドロシーに付け込まれ大怪我を負うことに。その後は平和のためMSを太陽に向けて射出、しかしデギムの反乱に際して取って返り、ブリュッセルにて奮戦した。ちなみに彼には29人の姉がいるらしい。「んならお前も女でいいじゃん」というツッコミ待ちらしい(ウソ)。
デュオ・マックスウェル
L2コロニー近くのさすらいサルベージ集団「スイーパー・グループ」によって育てられた、明るく陽気な死神少年。ガンダム乗りたちの中では最も常識があり、三つ編みを除けば社交的で優しい普通の人物。しかしその実力には並々ならぬものがあり、カマ付きMSの操縦や破壊活動、慣れない要人警護もプロフェッショナルとしては私情を一切持ち込まない。一時はコロニーからすらも敵視され、命を狙われる一幕もあったが、ガンダム乗りたちやヒルデとの出会いにより幾度も命を救われている。それでも他人からは影響を受けにくい性格のため、爽・鬱でいえばいつも爽、そんなフレンドリーな態度が同人誌描きのお姉ちゃんたちを虜にしてやまない。ていうか性格明るいから俺も好きかも。戦後はヒルデ二人に平和に暮らしていたが、デキムの反乱には対抗。ブリュッセル解放に一役かった。
張五飛
L5コロニーのチャイニーズたちに育てられ、「己のみが正義、立ち塞がる者は全てが悪」であると信じる危険な少年。それゆえ彼の正義が揺らいだときが最も危ない。戦士の血を惹き、頼りになる師匠の教えにより格闘戦を得意とし、重力下での戦果も上々であった。しかしその純粋な性格から一度ツボにはまったら抜け出せず、トレーズに敗れたことで傷心、サリィや他のメンバーによって再び戦う意思を取り戻す。その後もひたらすら正義のため苛烈にストイックに戦い続け、遂にはトレーズを打倒。しかしそれに納得がいかなかった彼は、結局戦後も武器を捨てられずにおり、「ハァ?」というような理由でデギムに加担、ヒイロと対決する。この際決着は着かず、彼をなだめたのは民衆たちの戦う姿だった。その後はサリィに誘われ、プリペンターに参加している。
ゼクス・マーキス(ミリアルド・ピースクラフト総帥)
OZの指揮官にして、後に翻ってホワイトファングのリーダー。サンクキングダムの嫡子として生まれ、連合によって王国が滅ぼされるや復讐を誓ってOZに参加。清廉潔白なシャアとでもいうべきか、仮面の理由も似たりよったり。顔立ちはこちらのほうがいささかキレイだが、自分を嘲るような喋り口調もどこか似ている。スペシャルズの指揮官として活躍、クーデターにも参加、復讐と共に王国の解放を遂げた。その他ヒイロと出会って自分の生き方に疑問を抱くこともあり、確認のため度々一騎討ちも演じている。OZを抜けた後は、あろうことかホワイトファングに参加。総帥としてトレーズと対決、エピオンを駆ってヒイロと戦うも、それ以来行方をくらました。レディアンが語る通り、この作品の最終決戦は飽くまで私闘であり政治的な意義はなく、ヒイロとゼクス、二人の悩める青年のフラストレーション発散のための戦いとしかならなかった。デギムの反乱に際してはプリベンターとして再び姿を現し、ノインと共にまたいずこかへと消える。コイツもきっと、携帯いつも圏外。
ルクレツィア・ノイン特尉
イタリア貴族の血を惹く、前髪に特徴のある女性士官。ゼクスとは士官学校時代からの付き合いではあるが、今まで一度たりとも確たる返事を聞いたことがない。正直、ここまで男のワガママに振り回された女性も珍しいと思うのだが、彼女は彼女でまあ楽しくやってるから良しとしたい。パイロットとしては極めて優秀、その教官まで勤め、私人としての性格も変人揃いの作品にあってまだマトモに見える。部下を失った後はゼクスと共に行動、しかし彼たっての願いによりリリーナの相談役となり、王国を守るための算段を着けた。その失敗の後は宇宙へ渡り、ガンダム乗りたちと共に財団と交戦。それでもホワイトファングのゼクスとだけは戦いを躊躇い、あろうことか戦場で激しく苦悩する。デキムの反乱に際して再会を果たし、その後の二人の行方は不明。
サリィ・ポォ軍医少佐
かつては連合の軍医として、瓦解後は故郷のゲリラとして活躍したロール髪の女性(カールではない)。常に冷静沈着クールに決めて、生半可な事では動じない。裏ではガンダムの回収やそのパイロットの集結、艦隊特攻から人質の救出まで、何でもこなす優れた行動力を誇っていた。しかし何より抜きん出ているのは人の扱いであり、あのウーフェイを説得、彼を立ち直らせた他、戦後はプリペンターにまでスカウトしている。実は結構子供好き?
レディ・アン
ヨソではベタだが、ガンダムにあっては珍しい二重人格の女性。トレーズの腹心の部下にしてOZの将軍、彼の目標達成のために命を賭け、そのためには非情な手段ですら行使を厭わない超危険人物。どうやら人格切り替えのスイッチはメガネにあるようで、それを着けたときには過激で残虐な作戦指揮官、外せば聖女モードとなり、人民のための偉大な指導者への変貌を遂げる。トレーズに振り向いてもらえない辛さからこのような人格が生まれたというが、真偽のほどは不明。トレーズのもと宇宙軍の指揮を任されていたが、彼が失脚するやツバロフによって狙撃、意識不明の重体となる。しかし彼が権力を取り戻すや彼女も復活、駆け付けて補佐をする。その後トレーズは戦死、しかし彼女は権力の座に座り続け、プリベンダーの指揮官としてデキムの反乱の鎮圧に奔走、後にトレーズの娘・マリーメイアを引き取った。軍人としてより、政治家として優れる。
ドロシー・カタロニア
眉毛に特徴のあるデルマイユの孫娘。「早く戦争になぁれ」のような突飛で過激な言動で知られるが、それは幼きおりの戦争体験からくる反動で、決して本心ではない。両親を殺した戦争を認めることで己を慰めようとしたのか、戦いに対して極めて屈折した考えを持っていた。しかし彼女の戦争希求は口だけではなく、その到来を早めるためにリリーナやホワイトファングのもとにまで「布教に」訪れている。コイツもかなりの危険人物だ。カーンズさえ黙らせる彼女はある種この地球圏に混乱をもたらすものであり、リーブラにおいてはカトルにまでその矛先は向けられた。しかしここに到り、彼女は彼に真実を語る。「自分が戦争を好むのは、その悲惨さを人々に思い知らしめるためだ――」と。ていうかここで喋って泣かなけりゃカテ公以下じゃねえか。どうでもいいけど、コイツを主人公にして言動を主音声、心情を副音声でやれば、国策・反戦ハイブリッドの結構面白い作品が仕上がる気がした。知らんけど。
トレーズ・クシュリナーダ総帥
財団、そしてOZの若き総帥。後に世界国家元首も勤める。キレ長の目と先割れの眉、ゼクスに匹敵する美形の顔立ちを誇り、クセのあるキャラもあいまって、俺なんか「なして同人女たちはコイツよか五人集を愛しましたか?」という疑念これあり候。戦士としての才能は五翔とも並ぶものをもち、カリスマとして人心掌握の術にも長ける。高貴にして正々堂々、「戦いこそが人類を育てる」といったような独自の哲学に則って行動、画柄だけなら最高にエレガントな人物といえよう。OZを指揮して連合を滅ぼすが、財団は彼の考えに反してMD時代に移行、彼は序盤早々幽閉生活を強いられる。しかし宇宙でホワイトファングが決起するや事態は一転、デルマイユ・リリーナを黙らせ、世界国家軍を率いてそれと対決。その際、かつて破った五翔の手に掛かって戦死。自らの信念を貫いた果ての死であった。しかしこれは、あまりにも彼が事を「エレガント」に運ぼうとした結果に他ならない。もっと汚くて下衆でベタな勝ち方をしようと思えば幾らでも出来たのだ。本人もあの世で「ぁえウソぉ?」といった心境ではなかろうか。彼はその実力を世界に見せ付ける前に、死んだのである。
