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ガンダムの歴史/第10集〜人が人を狩る時代に

小説・ガイアギアの背景

ザビ家の野望のため、あるいは宇宙移民者の真の独立のために戦ったジオン公国。
そして、戦争難民のために戦ったネオ・ジオン。
混乱の時代を収めるべく戦ったコスモ・バビロニアやザンスカール帝国――。
地球は常に「地球連邦粛清」を叫ぶ宇宙の者たちに荒らされ続けたが、しかし今回の敵は、あるいはあの木星帝国の兵士たちと似たような志をもって戦っていたのかも知れない。

ヒトは地球で生まれ、地球で死ぬ――。こんな当たり前のことですら、コロニーの時代においては特権階級のみに許された贅沢だった。
遡ること70年の昔、木星帝国は、連邦を滅ぼすことで自ら地球を手にすべく侵略戦争を繰り広げた。彼らが欲しかったのは、地球の持つ豊かな空気であり、水であり、自然、そして心の安らぎであった。指導者のドゥガチは別として、兵たちは皆それを望んでいた。
しかし、マン・ハンターのダーゴル大佐は、初めから地球を我が領土として、地上に「ガイア帝国」という名の一大国家を建てることを望んだ。
今まで連邦と対峙した独立派の者たちは、みな自らのコロニーを拠点に地球への侵略行為を進めていたが、今回は、以前の敵とはその手法が異なる。まず地球ありきとして、自らの拠点であるサイド2・ヘラスを早々に発し、地球へと降下したのだ。所詮は連邦の警察機構の一部門でしかない身にもかかわらず、バイエルンを初めとしたヨーロッパ地域の制圧を推し進めたのである。
連邦を内部から食いつくすこの危機に際し、当の連邦もようやくマハの危険性に気付き始めていた。ところが彼らが組んだ相手というのが、実に信じられない連中であった。

メタトロン機関は秘密結社。
宇宙の各地に三十一のx乗と呼ばれる拠点を築く、反地球連邦組織である。
彼らの御旗はシャア・アズナブル――そう、あのジオンのシャアである。
彼らはシャアを崇拝し、自らをズィー・オーガニゼーション(ゼットの組織、略してズィー・ジオン)を称していた。彼らはクローン技術を用い、アフランシ・シャアを生む。
それから20年、アフランシは自らが「シャア」の遺伝子を受け継ぎ、重い使命を帯びていることなど想像だにせず、一市民として平和に暮らしていた。

ズィー・ジオンは、成長した彼を「新たなるシャア」に祭り上げ、組織のリーダーに担いだ。しかし、彼は南洋の生活ですっかり自由の人となってしまい、既にアザリア少将以下ズィー・ジオンの高官たちの御しきれるものではなくなっていた。
そこで彼らは、あるひとつの決断を下す。それは、連邦への組織の身売りである。マハと敵対するズィー・ジオンと、マハを危険視する連邦軍。両軍の利害が一致した今や、アフランシは邪魔な存在と成り果てていた。
連邦にとっての最後の敵は――あるいは、ジオンにとっての最後の敵も、やはりお互いでしかなかったのである……。

※このマハの反乱は、規模だけ見れば一大戦争ながら、行為そのものはクーデターという、妙な事件である。連邦軍が極端に弱体化しているため、警察の一部局が地球制圧に乗り出すという大事が「できてしまった」のである。繰り返すが、マハは警察の一部局である。それを征討するのに、連邦はジオンの秘密結社の力を必要とした。夷を以て夷を制すという発想の下、緻密に練られた策ではなく、勝てないからジオンを頼ったのである。正規軍が賊を頼るようになってはおしまいだ。治安維持を放棄した平安朝から武士という新興階級が興り、公卿たちを圧倒したよう、体制崩壊はもう目前まで迫っていた。