ガンダムの歴史/第5集〜女帝がそっと微笑んで
ガンダムZZ〜前半のストーリー
ティターンズにエゥーゴ、ニューディサイズに正規軍と、連邦内部が混乱に混乱を、分裂に分裂を重ねる中、アクシズは次第に体勢を整えていった。
地球制圧よりもコロニー制圧を先に選んだハマーンは、各方面軍を組織。そのサイド1制圧部隊には、青年将校マシュマーが選ばれた(劇中では彼一人がアクシズの代表として戦っているように映ってしまうが、彼はあくまで制圧部隊の筆頭に過ぎない)。
そして、遂にはハマーン自ら地球へと降下。ダカール議会は完全に制圧され、彼女はそこでネオ・ジオンの設立を宣言する。
※ネオ・ジオンは国家の体を整えてはおらず、建国宣言も為されなかった。アクシズ人口が3万程度であり、一方で一億国民を抱えるジオン共和国と、ふたつのジオン国家が並立することを嫌ったためであろう。劇中、義勇的参加をしたジオン共和国の兵士を始末するよう、マシュマーが指示するシーンがあるが、内紛を抱えたハマーンはサイド3内での自己神格化に手が廻らず、おそらくジオン共和国の国防隊将兵は、ネオ・ジオンのコスプレ青年団を極めて軽く見ていたのではあるまいか。それは、獄中のナチス副総統ヘスが、ネオナチの若者を軽蔑したように――。余談だが、一部資料では 「ハマーンはネオ・ジオンを "国号" とした」 とするものもある。もちろん、この種の資料では 「第一次ネオ・ジオン紛争」 の称を用いず 「第一次ネオ・ジオン戦争」 と表記されている。ガンダムにおける国号問題はそもファーストから既に不思議で、設定段階のジオン "皇国" がいつの間にか "公国" となり、その亡国の君が ZZ 関連の資料では "皇女" として紹介されている。これといった功績もないのに公王の孫が皇女を名乗るのも無理があるような気もするのだが、外人部隊の一大尉がいつの間にか大元帥になっていたという例も現実にはあるので、まああんまり気にしないようにしたい。
しかしハマーンに迫る影は、エゥーゴやカラバの残存勢力のみに止まらない。真の敵は、組織の内側にこそ存在していた。
ガンダムZZ〜後半のストーリー
青年将校グレミー・トト。
彼はザビ家の遺児として生を受けるが、ミネバとハマーンの世にあって力は与えられていなかった。しかし、ネオ・ジオン内の反ハマーン勢力は彼を担ぎ、「正統なるジオンの後継者」を宣させるのである。
グレミーのほうもまだ若いだけに血気盛んで、ニュータイプ部隊を抱える彼の勢力は、最早ハマーンも無視できるものではなくなっていた。
※ネオ・ジオンの軍組織は、従来のものと比べて極めて異質である。ハマーンは、自らに忠誠を誓う美形の青年将校たちを司令官に登用し、彼らに騎士道精神を叩き込んだが、そのいずれもが若く経験不足で、後に叛乱を企てたグレミーに到っては、一兵士から身を立てたものだった。彼にはザビ家の血というバックボーンがあったが、最初からそれを知っていたハマーンなら、ミネバの正統性を危うくするこの青年を生かしておいた筈はない。想像だが、アクシズにはハマーンさえ手出しの出来ない長老会議のようなものがあって(文庫版で、それを想像させるグレミーの独白がある)、彼らがグレミーの上げ底に一役買っていたのであろう。そして、着々と進むハマーンの地球制圧に危機感を抱き、グレミーを担ぐことでハマーンの蹴落としを図ったのではあるまいか。では、ハマーンの権威が衰えて得をする者は誰か。ティターンズとエゥーゴの内紛でハマーンが漁夫の利を得たよう、シャア・アズナブル、またはそれに従うカイザスなどが、ハマーンとグレミーの内紛を工作したのではあるまいか。想像ですよ。
反乱の狼煙は、アクシズにて上がる。
ハマーンが「ジオン発祥の地」たるサイド3に入ったのを見計らい、決起したグレミー軍は、ハマーン軍と衝突。
しかし、アクシズ内部に潜入したエゥーゴの一部隊により、グレミーはその若い命を散らすこととなった。
その後ハマーンも倒され、指導者を失ったネオ・ジオンは瓦解することになるのだが、果たしてこれが成功していなければ、ハマーンの勢力は更に拡大していたと思われ、そうなれば、敵側に同士討ちを期待できたエゥーゴ、ことにブライト中佐率いるネェル・アーガマ隊は、後の世までその軽挙を責められることになっただろう。
後のロンドベル結成もシャアの反乱も、その母体となるアクシズの戦力が消耗しきっていれば、起こらなかったであろうからだ。
思えば一年前、連邦の内乱に乗じて地球圏に入り込んだアクシズが、今やそれと全く同じ形で崩壊することになるとは――。
皮肉な結末ではあったが、ハマーンにグレミー、それはどちらもジオンの名を騙るザビ家ゆかりの者でしかなかった。
真なるジオンとは、ジオン・ズム・ダイクン。
一年戦争の遙か前、ザビ家がサイド3を支配する遙か前、デモ活動を主体とした抗議行動で連邦と戦い、ジオン共和国を建国した活動家がその人である。
しかし、その同志・ザビ家は連邦と実力を以って戦う道を選び、遂にはジオンを暗殺。自らが支配者となるべくジオン公国を建国したのである。
以上のことからも、このジオン公国という集団の正統性は疑わしい。
もし国名にジオンの名を使うのならば、その主にはジオンの血を引く者こそが相応しいのではないか――。
そう考える一人の青年、シャア・アズナブル。
彼は一年戦争をザビ家の下で戦い、その裏でザビ家を倒すために暗躍した。
彼の真の名をキャスバル・レム・ダイクン。――ジオンの実子、その人である。
彼は前述の通りアクシズを脱してエゥーゴに参加し、クワトロ大尉を名乗り戦っていたが、エゥーゴがティターンズを倒すと同時にいずこかへと姿を消していた。以来、その行方に関しては一切判っていない。だが彼は、決して早まった行動に出るような男ではなかった。
ハマーン戦争の後、反地球連邦の動きは一時也を潜めてしまう。
一部でカラードやエグムといった民間組織、木星でのネオ・ジオン軍残党内部の抗争などの小さい衝突はあったものの、地球圏は平和にその刻をきざんでいた。
