機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ
マフティー事件
舞台は東南アジア及びオーストラリア、時代的には逆シャアとF91の中間にあり、書かれた時期はガイア・ギアともほぼ同一時期の作品である。逆シャアで処理できなかったブライト一家を潰すことで次回作への礎、今までのガンダムに楔を打ち込もうとした感がなくもないが、それにしてもこの一家は救われない。しかしそれ以外の部分を除けば、小説でもやっぱり富野ガンダムしている喜び。富野節だけでなく、中盤ではG3を彷彿とさせるような恐ろしい虐殺が読者を待ち受けている。ところでストーリーであるが、『逆襲のシャア』から12年後の世界。地球上における反連邦活動の一環として描かれるのがマフティーという組織であり、主人公ハサウェイが指揮を執り、政治的事情から軍事行動にでる。ちなみにこれは若干ネタバレになってしまうのだが、彼らの資金元は他でもない連邦内部にいる高官であった。終盤ブライトの、壊れたガンダムを見上げてのセリフが何とも感慨深げな秀作であった。
マフティー・ナビーユ・エリン
反地球連邦組織。リーダーにはハサウェイことマフティーを頂き、正体は不明ながらも、連邦政府高官クワック・サルヴァーの援助を受ける。アナハイム社との繋がりはあるものの組織としての規模は小さく、今回はアデレード議会での悪法成立を阻止するために活動。しかしキルケー部隊を前に壊滅した。
地球連邦(キルケー部隊)
オーストラリアに展開するキンバレー部隊を、支援する名目で地球に降りたケネス大佐の軍団。アデレード議会の際には徹底した対マフティー戦略を執り、遂にはマフティーを捕縛するに到る。指揮官ケネスの権限が強い。
ハサウェイ・ノア
母と妹を地球に、単身宇宙に上がってきたブライトの息子。シャトルのなかでクェスと出会って運命的なものを感じるも、ロンデニオンでシャアに奪われてしまう。その後はMSの訓練をしてまで彼女を取り戻そうと、ジェガンでフラフラと戦場に。しかし彼女を説得することは叶わず、クェスはチェーンによって撃破されてしまう。激情した彼はチェーンを殺してしまい、結局誰一人救えぬまま彼の戦争は終わった。その後かれは鬱的症状にとらわれるも、ケリアと出会ったことで快方に向かう。クワック・サルヴァーと出会うのは、それから少しあとのことだ。父のコネによってハウンゼンに乗船、植物監査官候補として地球に降りるも、その目的はマフティーとしてアデレード議会を潰すこと。かつてのクェスに似た気配を持つ少女・ギギを軸としてケネスと戦い、最後は彼の隠し技ビーム・バリアーによって敗北。処刑はブライトの名のもと、ケネスの立会いで行われることに。
「やっちゃいけなかったんだよ!!」
エメラルダ・ズービン
「女戦士」という呼び名が相応しい、ミヘッシャ後任の連絡員。ガウマンのダバオ襲撃直後、ハサウェイに次の行き先を知らせた。パイロットとしての能力も高く、後にメッサーを駆り隊のリーダーとして活躍するが、アデレードにてペーネロペーに討たれ戦死。恋人・レイモンドを残し、一人逝った。姉御肌で直情的、実は「軍のパイロット試験に落第してマフティー入り」という珍しいメンバーらしい。
「フフフ……そうでなきゃね……生きてるかいがない……」
ガウマン・ノビル
顎の長さを気にする、三十路前後のパイロット。メッサー2でダバオを陽動襲撃、一度は連邦軍の捕虜になり、マフティーに対する楯としてレーンに連れ廻された。その非道を指摘したハサウェイにより彼の手から離され、無事生還を果たす。その後も再びパイロットとなり、アデレード強襲に参加。リーダー・ハサウェイ機の頓挫を前に、無事撤退したという。ちなみにかつては連邦軍に在籍しており、「遊びっぱなしの部隊」として知られる西方百八十三部隊に所属していた。
「巻き添えの方々の霊には、哀悼の意を表する。勘弁してくれ」
ファビオ・リベラ
反地球連邦を掲げるマフティーことオエンベリ軍のリーダーだが、こちらは「騙り」のほうである。連邦側の物資の横流しを利用してキンバレー部隊に必死の抵抗を試みるが、彼のMSを用いた虐殺の前に敗れる。全滅寸前のところでハサウェイによるオエンベリ解放、その後は真なるマフティーに従った。荒々しい口調に反してその行動は冷静沈着、しかしそれは彼自身の性格であり、このような活動方針を執ったことは組織として既に冷静ではない。ちなみに喋りには若干のスペイン訛りがあるらしい。
ギギ・アンダルシア
ガーディアスの妾という「身分」によってハウンゼンに搭乗した、大人とも子供ともつかない女性。機内で政府高官を相手に反体制染みた雑談を交わしていた。そのことが縁でケネスとハサウェイに出会い、当初はハサウェイと共に行動。しかし二人の戦いの決着を見届けるためケネスの元へ渡り、更にマフティーに身を返すも、たった一日で追い出された。気まぐれで放浪グセがあり、どことなくクェスを連想させるがゲームでの声優は林原めぐみ。事件後はケネスとキュシューに渡った。ちょっとファザコンかも?。
「アデュー!……わたしのパトロン。わたしは、死ににいくのかもしれません」
ケネス・スレッグ大佐
キンバレーの後任として地球に下りた技術士官。元々は宇宙でMSの開発に携わっていたが、マフティー事件の発生に際してハウンゼンに乗る。指揮に乗馬鞭を使うチョット怖そうな人物だが、ギギの神性を認めるなどロマンティックな面も持ち合わせていた。ダバオ赴任後はキルケー部隊を編成、マフティー討伐に挑むが、気付かずしてハサウェイことマフティーとも親交を深めている。連邦の高官たちを心底嫌悪しているものの、マフティーの横暴は絶対に許さない――さもなくば「本当の政治闘争の偶像としてジャンヌ・ダルクになってしまう」という理由から、徹底的に叩き潰そうとしている。結果、軍に認められて准将に昇進するも、連邦そのものに嫌気がさして退官した。一説によれば、後のマザー・バンガード一党や、ズィー・ジオンの基礎を作ったのが彼だという。
(なんでこいつは、猫背なのだろう……)
レーン・エイム中尉
キルケー部隊に所属する、ケネス秘蔵の茶髪青年。彼もまた、「ライバルになれなかったライバル」の一人である。組織ではエリートとして強化され、サイコミュ搭載機のペーネロペーに搭乗。ガウマンを人質にとりマフティーに対抗するも失敗、汚名返上のためアデレード攻防戦で再び出撃するが、ハサウェイの前にまたしても敗北を喫する。まだ青臭さの残る、ちょっと見ミケルかバーニィのような青年将校だった。ちなみに声は若林くん。
