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久川対談・ガンダムファンに聞く

海外のファン・ジョン氏に聞く

ジョン・ポール・スミス氏 日本においてガンダムは、いつの時代も少年達の憧れであり、大人達にとっても、同じ時代を生きた者同士、重要なコミュニケーション・ツールである。
しかし、海外においてはどうなのだろう。
それはスターウォーズであったり、コンバットであったり、あるいはサンダーバードであったり――。
ジャパニメーションのグローバル展開によって、それは時にドラゴンボールだったり、うる星やつらだったりもする。
だが、ガンダムは―― ?

「僕にとっての永遠の憧れはガンダムさ。スターウォーズじゃない」
そう語ってくれたのは、ARS サンフランシスコ支局長で無類の日本通、ジョン・ポール・スミス氏 (45) だ。
GDW の久川は、北千住駅前の喫茶店で彼と接触することができた。
スミス氏は筋骨隆々とした威厳ある紳士で、手には、日本土産だろう、ひよこまんじゅうの紙袋が握られていた。
――初めましてミスター・スミス。お噂はかねがね。さっそくですが、あなたはそのお歳でガンダム・ファンを ? ジャパニメーション・ファンをされているのですか ?
「初めましてミスター・ヒサカワ。君の噂は全然聞いたことがない。僕がジャパニメーション・ファンだって ? 僕をあんな浅いやつらと一緒にして欲しくはないね。僕は、放送当時からのガンダムのファンなんだ」
自信満々に語るスミス氏。口に着いたカプチーノの泡を拭い、私の反応を待つ。
私はちょっと引きつつも、相手のお国柄を考慮してことさら驚いてみせた。

――二十数年前からの ! 当時の日本のアニメファンにさえ難解だったストーリーを、失礼ですが、外国の方が理解できたのですか ?
「理解もなにも、僕はなまじの日本のファンより詳しいぐらいさ。よくアニメックの編集部に国際電話を掛けて "次回の放送はどうなるんだ" って聞いていたからね。彼らは面白いんだ。僕が "こうなるんじゃないか" って意見を言うと――たとえば、"シャアの次の敵は年配で、新しいモビルスーツを使ってアムロに人生を説くだろう" って予想をすると、日本人の自分たちにも展開が分からないのに、あなたはどうしてそんなに監督の心が分かるんだ、我が社のアメリカ特派員になってくれるなら、キミの望むだけのを出そうなんていうんだ」
『渡る世間』並みの長台詞を、私に一度の相づちを打たせることなく、スミス氏は一気に語り抜けた。十中八九嘘だろう。
テーブルに置かれた三つのカップのうち二つは彼が注文したもので、彼は近くのウェイトレスを呼ぶと、さらにホットドッグを追加注文した。
おそらくお腹がすいていて、ウインナーコーヒーを豚肉の何かと間違えて頼んでしまったに違いない。ウェイトレスがテーブルに近付いた途端、彼の手がケチャップに伸びたのを私は見逃さなかった。

――アメリカにお住いの方が、日本のアニメ誌のご意見番に ?!
「そりゃあ僕も悩んだよ。アニメは好きだったけど、そのとき既にアリゾナ大学への進学は決まっていたからね。結局は家業を継ぐことにしたが、それからも日本のアニメーションブックへのアドバイスは続けていたよ。僕の予想は百発百中だったからね。事実、僕が想像した通りにニュータイプの新キャラクターは出てきたし、ビーム兵器搭載型の新型 MS はシャアの専用機が真っ先に登場した。僕には分かるんだ、ミスター・トミノの考えていることが。きっと僕のような人間を指して、トミノはニュータイプという言葉を使ったんじゃないのかな」
おそろしい勘違いをしているような気もしなくもないが、彼はそう信じているようだったのでほっとくことにする。
彼のジャケットの襟には、きらと輝くシャアの顔入りの徽章が。きっと彼は、自分のことを赤い彗星か何かと考えているに違いない。
ホットドッグを運んできたウェイトレスが、徽章に目をやり一瞬動きが止まったのを私は見てしまった。
赤地に星マーク、そして歯を見せ微笑む青年の顔に、金日成バッジを連想したのだろう。

ジョン・ポール・スミス氏 ――アメリカで、日本のご友人などからビデオを取り寄せてご覧になっていたのですか ?
「いや、ガンダムはこっちでも観ることができたよ。西海岸は日本にも近いから、天気が良ければ電波が入ってくるんだ。ヒッピーの友人が女の子たちと楽しくおしゃべりしている間にも、僕は部屋でガンダムを観ていたのさ。グレイトフル・デッドは分からないけど、哀戦士なら誰よりもよく知ってる。暗い青春だよ」
彼の居丈高な態度に辟易しかけていた私だったが、その寂しそうな横顔には好感を抱くことができた。
なぜだろう。国籍を異にした四十過ぎのおっさんに、どこか自分と通じるものを感じたからだろうか。
私は質問を続ける。

――アメリカでは、ガンダムの知識を深めようにも資料が少なかったことでしょう。今では、インターネットで簡単に手に入りますけど……。
「そんなことはないよ。アニメージュや、モデルグラフィックスを毎号取り寄せていたからね。ガンダムマガジンなんていうのも愛読誌のひとつさ。さすがに日本からうん千キロ離れると、発売日にってワケにはいかないけれど、家内から会社に "届いたわよ" って電話が入ると、その日は飛んで家に帰ったものさ。もちろん、今でもガンダムエースは毎号欠かさず読んでいるよ。エースは、ショートストーリーがとても面白いね。ナヲキ・キャラサワが描いた、アムロが独房でハロを内職する話なんて最高だったな。あと、DOG GUNDAM の "執念のイメージ" もね。僕たちアメリカの仲間内では、訳さずそのまま "シュウネンノ・イメージ" って呼んでいるくらいさ。初めてみた時は笑いすぎて、ベッドから転がり落ちてしまったぐらいだよ。娘には "パパうるさい" って怒られてしまったけれど」
「嘘言いなオッサン」と思いつつも、私は嬉しそうに思い出を語る彼に、次第に親近感を覚えつつあった。
そうだ、これがガンダム好き同士の共感であろうとは私にも分かる――。
逆襲のシャアで聞き知ったこのフレーズを思わず口にしかけた私だったが、倍の量の蘊蓄によって文字通り逆襲されるのを嫌い、踏みとどまった。次はガンプラについて聞いてみよう。

――ガンプラも日本から輸入を ?
「プラモデルはよく作るよ。一番のお気に入りは、ハイグレード・シリーズのハイゴッグかな。0080とかあの時代のキットは出来はいいんだけれど、やはり時代遅れの感は否めないね。それに、当時はいろいろな輸入業者が乱立していたから、間違えて偽物をつかまされた時の悔しさもトラウマになっているよ。ゲルググかと思って取り寄せたらグルブブだったなんてこともザラだった。だから僕は日本人のディーラーにしか頼まない。彼らは新製品にも詳しいし、作り方にも通じている。エアブラシの掛け方は彼らに教わったんだよ」
ディーラーっつうか、ただの気のいいプラモ屋のおやじじゃねえかと心の中でつぶやきつつ、私はこんな話を思い出していた。
それは、ある欧米通の日本人の体験談だ。
「日本人が学校で英語を覚えても、読み方をカタカナで書いて覚えるから発音が実際と違うので通じない。必死でウォーターと言っても、向こうの人間は "ワラ" のような発音をするので水は手に入らない」といった類のものである。

――だが、その話を聞いて、私は思ったものだ。
きっとウォーターと必死で言い続けていた日本人も、コップを持つなり喉をかきむしるなどのジェスチャーをして、必死に「水が欲しい」ということを訴えていたに違いない。 我々日本人は、職場や学校で出会った外国人の発音や "てにをは" が少々おかしくても、相手をおもんぱかって「正しい日本語を聞きました」というふりをする。相手への優しさと状況判断能力があれば、よほどの専門用語でない限り、言葉など多少間違えていても意味は通じるのである。
そうだ、ウォーターを聞いたら水を出してやれよ ! そんな意地悪すんなよ ! 人間水なしで生きていけるわけないじゃないか ! グルブブは騙されるほうが悪い !! 単語の違いが問題ではない ! きっとグルブブと並んで 1in50 と書かれたファミコンソフトも、ウィンドウズとフォトショップが一緒に入った怪しげな CD も売られていたに違いない ! 相手を見抜けなかったお前が悪い !! グルブブに騙されるお前が悪い !!
――と、人差し指を突き立て怒鳴りつけてやろうかと思ったが、通訳なしでどう伝えていいのかも分からないし、おっさんブチギレされたら腕力で負けそうなので、とりあえず心の中だけでこだまさせることにして、次の質問へと移った。

ジョン・ポール・スミス氏 ――グルブブとはご苦労をされましたね……。ところで、最近興味のあるガンプラは何ですか ?
「時代はやっぱりハイグレードさ。Z や ZZ の頃に出たマイナーなキットも、全て復活してくれることを願っているよ。緑バウやパラス・アテネもかなりクールなキットだったしね。あと、同じアメリカ人として忘れてならないのがシド・ミード氏のターンエーガンダム。――えっ、日本人にはウケが悪かったのかい ? あんなに洗練されたクールなデザインを理解できないなんて、日本のファンもまだまだだね」

このおっさん、妙なところで私と意見を一にする。
ガンダムシリーズに対して全肯定の立場を取っている私としては、たまにはターンエーのような "前衛建築" が、大河原・カトキ以外の風を吹き込んでくれなければ、ガンダムという人気商売自体が沈殿すると考えているし、ヒゲガンダムは、童心に決して格好良くは感じられないものの、やはり衝撃的ではあった。
だが、目の前のこのガイジンの場合、年の割にどうも俯瞰で物を見ず、金髪の男の子が父親に買ってもらったライトセイバーを振り回す感覚で、ターンエーを礼賛しているようにしか思えないのだ。
口に含んだホットドッグのかけらをとばしながら、ターンエー・ターンを熱唱するスミス氏。彼のことをいぶかしんでいたウェイトレスが、歌声に反応してこちらを向いたのが分かった。きっと労働党の歌かなにかと思ったに違いない。

――ファースト以降のガンダムもご覧に ?
「シリーズは全て観ているよ。特に最近の、ガンダム……シードかい ? あれはエキサイティングな作品だったね。モビルスーツもカッコイイし、プリティな女の子たちも盛り沢山だし、僕たち O-TA-KU には堪らない作品となっているね。ラクスの天然でピュアな感じは、ラムちゃんや魔法の妖精ペルシャにも通じるじゃないか。しかも、以前は電波が弱くてザラザラの画面で観ていたものが、今ではハイクオリティな画面で、しかもその日のうちにインターネットで観られるんだから、技術の進歩と、インターネットを生み出した祖国に感謝するばかりだよ。サンフランシスコの同僚にも、シードのファンは多いのさ」
なんということだ。冒頭で「ジャパニメーション・ファン」呼ばわりされたことに苛立っていたくせに、煎じ詰めればタダのオタク外人ではないか。つうか魔法の妖精ペルシャなんて日本人でもあんまり知らねえよ !
思わず放った私の舌打ちを掻き消して、今度スミス氏は倖田來未を歌っている。倖田來未ガンダム関係ねえし !
私は、そろそろ帰ることにした。

――最後の質問です。スミスさんをそこまで惹きつける、ガンダムの魅力とは何ですか ?
「ガンダムの魅力……。そうだね。少し湿っぽい話になってしまうけど、僕の父は軍人で、第二次大戦をナチス相手に戦った。五年前に亡くなってしまったけれど、今でも父は僕の誇りであり、一番のヒーローなんだ。連合軍とナチスの戦いと、連邦とジオンの戦いは、僕の中でオーバーラップする。アムロがザクを一機撃墜するたび、戦場での勇ましい父の姿が脳裏に浮かぶのさ。……おっと、そろそろ会社に戻らなきゃ。天現寺のあたりは夕方混むから、定時に帰りたいしそろそろ出ることにしよう。明日は錦糸町までシュレッダー直しに行かなきゃならないしね」

――今日はお忙しい中、本当にありがとうございました。
「気にしないで。ありがとう」

スミス氏はそう言うと、足早にその場を去っていった。
てめえの会社サンフランシスコじゃなかったのか。

老齢のファン・柿畑氏に聞く

寒村の宿坊を改装して作られたアトリエは、柿畑氏の私邸も兼ねていた。
彼は土間に立ち尽くす私を一瞥すると、ずれた老眼鏡を直し、再び作業――伝統工芸「ザクキャノン駒」造りへと戻った。

「いつまで突っ立ってるんだ、温度が変わっちまうから戸を閉めて早く入ってこい !!」
柿畑氏の怒声は、この小豆島に二日掛けてようやく辿り着いた私にとって、なんとも手荒い歓迎となった。
特産のそうめんで柿畑氏が私をもてなしてくれたのは、作業も一区切り着いた十分ほど後のことだったろうか。

「あんたが久川さんかい。さっきは怒鳴っちまって悪かったね。だけど、ザクキャノン駒ってのは温度が命なんだ。炉の温度が一度変わるだけで、ザクキャノンはザクキャノンの形を保てなくなる。キャノンが折れるんだな。最近じゃあ、白兵専用のギャンに大砲つけてギャンキャノンだって騒いでる若い連中が居るらしいけど、俺に言わせりゃあ……へへっ」
大きな黒縁の老眼鏡、耳のあたりに申し訳程度に残った白髪、しわがれた声。典型的な "お爺ちゃん" の風貌を持ちながら、眼の力だけは若く強い。永年のザクキャノン駒造りで、柿畑氏の親指と人差し指の付け根には大きなマメができていた。おいしいそうめんを戴いた後、私は取材に取り掛かることにする。

――柿畑さんは、なぜザクキャノン駒を作ろうと思われたのですか ?
「いろいろあるがね。ただ一言でいうと、出会っちまったんだなあ。ザクってのは、主役じゃあないし、しかもそのザクにもいろんな種類がある。砂漠が好きなやつ、海を泳げるやつ、脚がキャタピラになってるやつ。だけど、そんな中で一番格好のいいザクは何だって考えたとき、俺にはザクキャノンしかなかったんだな」
立ち上がり、戸棚から桐の箱を取り出した柿畑氏。蓋には毛筆で「ザクキャノン」、そして「豊文 (ほうもん) 」の朱印。豊文とは、砲門を引っ掛けた柿畑氏の号である。
箱から取り出されたのは、全体を銀箔に覆われた見事なザクキャノン駒だった。
それは見る角度によって鋭く、箇所によっては鈍く輝きを変え、まるでザクキャノン駒そのものが光源を持っているかのような、美しい艶を見せていた。

――柿畑氏は言う。
「エム・エス・ブイってのに、イアン・グレーデン中尉ってのが居たろう。あいつが乗っていたのが、この耳付きのザクキャノンだ。俺たち職人の間では "唐鉄砲" って呼ばれてるけど、あんたみたいな若い人は知らないだろうが、あれが出てきたときは結構さわがれてなあ。肩の色づかいが蜂のようになっていて、フアンの中でも好き嫌いが分かれたもんだよ。ほら、京都のほうに加登木流ってのがあるだろう。あすこのお師匠さんが、ザクキャノンの出っ歯をなくしちまった張本人だな」
言いながら、セブンイレブンの袋からブリトーを取り出し、レンジに入れる柿畑氏。
目分量でグイッとつまみを廻し、スイッチを入れた。
"ブリトー 1 個に五分 (500W) は長いよ" とも思う。
「ゼーターのジャブローで戦う場面でも、確かザクキャノンは出てたな。あのときばかりは俺たちも震えたよ。民営化で国鉄を追い出されるちょっと前だったから、みんな羽振りもよかった。いまこの島でザクキャノン駒を作ってる連中は、みんな国鉄の OB ばっかりだよ !」

オッサンみんなして何やってんだとも思いつつ、私は眼前の「ザクキャノン駒」に心奪われていた。
ご存知のない読者のためにも書いておくが、ザクキャノン駒とは、プラモデルとは異なるものである。
ガンダム・コレクションシリーズや、ボトルフィギュアとも違う。これは「ザクキャノン駒」という伝統工芸品であり、他に類似する何物もない。
手に触れると冷たく、しかし所々あたたかく、ピカピカとしている部分もあれば、ザラザラしている部分もある。有機的なのだ。

見てくれもプラモデルとはまるで違う。
肩のスパイク部分は、クリアーを吹いたのち 2000 番のサンドペーパーで削り、さらにタミヤコンパウンドの粗め→細かめ→仕上げで丹念に磨き上げたかのような見た目と質感がある。もちろん、ザクキャノン駒はプラモデルではない。
脚の部分は、パテを叩き置きした上に粗めのサンドペーパーで下地を作り、ところどころリューターで傷を入れ、ドライブラシで影を入れた後つや消しで仕上げたかのような見た目をしている。繰り返すが、ザクキャノン駒はプラモデルではないのである。

そんなザクキャノン駒を丹念に眺めるうち、電子レンジの加熱終了音が鳴った。
私は、それにはまるで意識を払っていない素振りで、ザクキャノン駒を上から下から舐めるように、その造形美をさも心に焼き付けているかのような芝居をしたが、柿畑氏の身には、やはり私の想像通りのことが起きた。
「アチッ ?!」と叫び、ブリトーの袋をポテンと地面に落としたのである。だからブリトーに五分は長いって。
おそらくは盆栽用であろう、鋳物のようなハサミでビニルを切ると、老人は皿の上にブリトーを開けた。チーズの香りが部屋中に広がる。
ていうか、いいなあブリトー。俺もブリトーがよかった。他人の家で食うそうめんは軽くえずきそうになるんだもん。――ブリトーをかじる柿畑氏に、私は質問を続ける。

――私たち現代人は、ザクキャノン駒をどのように考えればいいのでしょうか。
「考え方は人それぞれだろうけど、私なんかは "ジオンの精神が形になったようなもの" と考えることにしてるよ。今は、ケータイだインターネットだって、人間関係の希薄なデジタル社会だけれど、いずれみんなザクキャノン駒に還ってくる。その日のためにも、死ぬまでザクキャノン駒を作り続けるよ俺は」
よくわからぬ現代批判の例に使われて、ケータイやインターネットこそいい面の皮である。

最後に私は、一番気になっていたことを、勇気を出して聞いてみた。
――ところで、このザクキャノン駒、一体何に使うのですか ?

老人は絶句した。
「何に……って、あれだよ。将棋やすごろくなんかでも、駒ってのがあるだろう」
――主に、将棋やすごろくに使う駒と考えてよろしいのでしょうか。
「いや、将棋とかすごろくってのは物の喩えで、これはザクキャノン駒っていうひとつの物なんだよ」
――わかります。しかし、どんな物にだって使用目的とか用途とかいうものがあると思うのですが、これはプラモデルやフィギュアのような愛玩用と考えてよろしいのでしょうか。
「だからこれはザクキャノン駒なんだよ。ザクって知ってるかいあんた」
――するとこれは、ザクキャノンを模造した物、バンダイやサンライズのライセンシーを取らずに作られた、ひとつの偽造プラモデルと考えるべきものなのでしょうか。
「うううるさいよあんた、ザクキャノン駒をバカにしたいんだったら帰ってくれ !! あんたみたいな若造に話すことなんか何もない !! もう結構だ !!」

柿畑氏逝去の報せが私のオフィスに届いたのは、それから三日後のことであった。

終わりに

今回のインタビュー、いかがだったろうか。
二十余年を経て、いまだ色褪せることのないガンダムの魅力を、スミス・柿畑両氏は語ってくれた。
そして、良い作品は国籍も言語も年齢さえも飛び越えてゆくことを、私は知った。
次回のインタビューでは、ガンダムの魅力が国籍や世代だけでなく "種族" をも飛び越えてゆくことを証明しようと考えている。
ウクライナのポルタヴァ州で「奪回 ! コア・トップ」 (ガンダムZZの17話) を見続けているシュナウザー犬・シモンくんと、その飼い主ベレゾフスカヤさんへのインタビューを、ぜひ期待して欲しい。