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機動戦士ガンダム0083スターダストメモリー

デラーズ紛争

レビュー

同時期に作られた『F91』が逆襲のシャア以降の「未来」を繋いだのに対し、この作品で語られるのは「過去」。初代ガンダムからZまでの空白を埋めるべく、といってもアムロとシャアはおろかニュータイプすら出てこない、ヒロインは主人公を裏切るわでとっても地味なガンダムである。しかしこの作品の真の主役はカトキ氏の作り出したMSであり、これらが所狭しと暴れ廻る様は、OVAだからこそここまで実現できたといっても過言ではないだろう。ラストシーンにおいては、Zにおける悪玉・ティターンズ結成についてが描かれている。ところで肝心のストーリーだが、ジオン軍残党の一派デラーズ・フリートの蠢動から始まる。彼らは連邦が作り出した新型ガンダムに核弾頭が装備されていることに目を付け、条約違反の名目でこれを奪取するため、デラーズは前大戦の英雄ガトーを派遣。ガンダムの眠るトリントン基地において、星の屑作戦はその幕を開ける。

地球連邦(アルビオン)

コーウェン中将の下、シナプス大佐が任された強襲揚陸艦。連邦内でも異端とされるコーウェン指揮だけあって、ジオンに対してはこの上ない迅速な対応が可能だ。デラーズ・フリートと戦い傷を受けるも、沈没は免れている。戦後、艦長のシナプスは処刑された。

デラーズ・フリート

ジオン軍残党の一派。デラーズ中将を総帥として、茨の園を拠点に活動する。0083、トリントン基地の襲撃をして決起、コンペイ島観艦式襲撃、コロニー落しをして星の屑作戦を完遂する。アクシズとの関わりも深く、作戦後の兵の回収は先遣艦隊のハスラー提督に依頼されていた。一部がアクシズへ渡るも、大半が連邦によって撃破されている。

コウ・ウラキ少尉

一般兵・パイロット ガンダムのパイロット。トリントン基地に配属された一介のMS乗りに過ぎなかったが、2号機を狙うガトーと1号機にて対峙、その際は敗れるも、その敗北は大きな怒りとなって彼の心のなかに残り、少しずつではあるが彼を大人の戦士へと成長させていった。しかし星の屑作戦を通じ、ガトーには翻弄されっぱなし、しかも3号機と出会って以降、彼の転落は加速を始める。あれほどライバル視していたガトーには事実上敗れ、コロニーの落下は阻止できず、しかもコロニーの中へ入ったガトーを追って来てみれば、そこには恋人・ニナの姿が。「なんでぇオメエらデキてやがったのか?!」と思ったかどうかは知らない(多分そうは思っていない)が、怒りと悲しみのないまぜになった屈辱の涙を流すことに。しかも彼の不幸はこれでは終わらない。なんと、3号機を無理矢理手に入れたことが原因で、軍法会議に架けられてしまうのである。それでもその咎は機密の名目で何とか見逃され、無事次の赴任先へと向かう彼だったが、着いた先には何とあのニナの姿が!! 「貴様、よく俺の前にそのツラ見せられたもんだな!!」と思ったかどうかは知らない(多分そうは思っていない)が、よくよく運のない男もいたものである。
「俺は……どこへ帰る……!!」

ニナ・パープルトン

技術者・技術士官 ガンダム1号機、2号機のシステムエンジニア。無類のガンダム好きで、趣味を通じてコウと親交を深めるも、トゲトゲのある性格では美人も台無しというもの。しかも彼女にはかつてガトーとの交際歴があり、二人の対決を見届けることに宿命を感じていたというから実に勝手な話である。あれだけコウとベタベタしながら、最後の最後でガトーを選び、青年の絶叫を聞くことになるのだが、大半の視聴者が冗談かと思う中、本人は到ってマジなようだった。ストーリーの流れから「ちょっと笑かしたろ」的恣意があったようにも思えるのだが、それは穿ち過ぎというものだろうか?ちなみに一説によれば、あのような顛末には富野監督の指示があったという話も。文庫版のコウの中には、「あのときガトーを殺していたら俺が後悔していた」とニナの正当性を認めるような思案を巡らせているが、それは違うぞ青年。性別を逆に置き換えてみても、ニナ・パープルトンの選択は異形なのである。さて、色々あってデラーズ紛争も終わり、戦後はオークリー基地に赴任して、そこでMSの試験運用に携わっていた彼女だったが、その前に現れたのは、なんと懐かしのコウ・ウラキだった。このアマ一体どの面下げて(以下略)。
「キャーッ!!私のガンダムがァーッ!!」←私物化

チャック・キース少尉

一般兵・パイロット コウと同期の新米パイロット。モンシア級とはいわないが、酒好きのお調子者、その上かなりの女好き(ホント、似てるなあ)。性格は外見とは正反対で、軟弱顔のメガネくんとは思えないほどの積極性を示し、それはあのモーラねえさんにアタックするくらい。ちなみに戦闘ではあまり前線に出ず、艦の直衛として出撃する程度。しかしそんな彼も幾多の戦禍を潜り抜け、コウのサポートを続けるうち(上官・モンシアに小突かれながらも)一人前のパイロットに成長していった。戦後はオークリー基地に配属、テストパイロットとして活躍している。

ベルナルド・モンシア中尉

一般兵・パイロット 技術は高いが知性と品性は低い、ガンダム巡ってコウと争う無茶苦茶な酔っ払い。一度は偶然をして敗北を喫するも、圧倒的に腕は彼のほうが上である。しかし普段は不真面目な上に女と酒が大好き、しかもイヤミったらしくネチっこいと、いいとこゼロ。そんな彼も、バニングにだけは頭が上がらないらしく、よく説教されていた。しかし煙たがりながらも尊敬する気持ちは本物だったようで、彼が事故死した際は大泣きに泣いている。ちなみに戦後はベイトと共にティターンズに編入され、意外にも紺の軍服が似合っていた。反体制な風の彼らも、どうやら地球出身者だったらしい。
「おい、うぅらぁきぃ?!」

アルファ・A・ベイト中尉〜大尉

一般兵・パイロット アレンにラバンと、レギュラー勢を一掃されたのちアルビオンに補充されたパイロット。モンシアよりはまだ大人しいが、下品で喧嘩っ早いのは全然おんなじ。それを抑えられるのは唯一バニングであり、ベイトはかつて一年戦争時、彼のもと第04小隊に所属していたことがある。バニングの死後はMS隊のリーダーに選ばれ、彼自身も自覚を抱いたようで、ほんの少しだけおとなしくなった。戦後はティターンズに編入され、劇末ではその制服姿をうかがうことができる。結局ジェリドだヤザンだって粗野な連中は、みんなティターンズに集まるらしい。

チャップ・アデル少尉

一般兵・パイロット トリントンのMS隊が全滅した後、アルビオンに補充されたあの三人組の一人。濃い髭に深いシワ、一番老けて見えるが階級は一番下である。一党のまとめ役として活躍した。新兵思いの物静かな性格だが、怒らせると怖そうな予感はプンプン。キースのバックアップ(おもり)を勤めていた。ちなみに前大戦の際はバニング大尉の下にいて、戦後は例の仲間たちと一緒にティターンズに配属された。ここでも三人一緒である。怒チームでいえばクラークのポジション。ヘ〜イ。

サウス・バニング大尉

隊長・実践指揮官 トリントン基地で新兵の育成に励むベテランパイロット。現在コウ、キースを教育中だが、アデルとモンシアの二の舞は繰り返さないでほしいものである。このまま退役までのんびりと暮らすつもりだったが、突然のデラーズ・フリートの強襲により前線に駆り出され、アルビオン全てのMSの指揮を執ることになってしまう。しかも戦闘の最中に脚を骨折し、やっと完治したと思った矢先、シーマ艦隊とバーミンガムを発見。彼女とも互角の戦いを繰り広げた上で、不思議なトランクを持ち帰るも、機体のガタのせいで事故死してしまった。ちなみにこのトランクには星の屑の秘密書類が詰め込まれており、もしこれが艦に届けられたなら観艦式大爆発の、その後の歴史の流れすら変わっていたかも知れない。彼の死を受けて、別居中の奥さんなどはどんな思いでいたろうか。

モーラ・バシット中尉

技術者・技術士官 身体もデカけりゃ態度もデカい、アルビオンの女整備士長。ベイトが言った「デッカイねえちゃん」のセリフはなんだかとってもオモロイ。彼らを一喝し、投げ飛ばすほどの腕っ節の強さを誇るが、面倒見の良さで誰からも好かれ、トリントン基地に派遣された頃からはニナとも仲が良い。しかも彼女とコウのラブラブムードに刺激されてか、あのキースと付き合うようになったというから驚き。戦後は北米オークリー基地に派遣され、再びニナたちと共に働いている。既に己を悟ったような女性ではなく、桃色のカチューシャで可愛らしく決めていた。

エイパー・シナプス大佐

中級司令官・艦長 コーウェンの下にあって、アルビオンの艦長を勤める男。彼の命を受けガンダム2機を輸送、核弾頭を受領した。しかしその片割れが奪取されると、その追撃を企図してバニングをMS隊長に任命、デラーズに対し徹底抗戦の構えをとる。ワイアットなどとは異なり、真の「紳士」として艦内にも知られており、誠実で良識ある人物として信頼も厚い。しかしその潔白さが災いして、なりゆき軍に背くことに。柔軟思考で勘も良く、何の知らせもないうちにデラーズの真意を悟るほどの洞察力を持っていたが、派閥抗争により、戦後は戦争責任者の一人として処刑された。最後の最後まで、首脳部での立場を弱めてゆく上官・コーウェンを気遣っている。ちなみに持病があり、軍医からは酒の制限を受けていた。
「ツケは高くついたな…!!」

アナベル・ガトー大尉〜少佐

エース・ベテラン 「ソロモンの悪夢」の名で連邦にも知られる、一年戦争のエースパイロット。ア・バオア・クー海戦もタケナワなあるとき、母艦の沈没をデラーズより知らされ共に戦線を離脱すると、暗礁地帯の茨の園で三年間を過ごしてきた。しかしデラーズは連邦において核搭載機の開発が進んでいることを知るや、彼に地球行きを指示。連邦の悪意の象徴として吊るし上げるべく、機体の奪取を命じた。多少の犠牲はあったものの、「星の屑」と呼ばれたこの作戦の第一段階は成功を果たし、後に同機は、連邦の艦艇のほとんどが集結する観艦式に無理矢理ご出席、チカラ一杯核バズーカを撃ち込んでいった。希望なきジオンの戦後にあって志を貫き、義の侍としての生き方を突き進んでいた彼だったがが、この襲撃を前後して、長年白星続きだったアナベルガトーの戦歴に初めて陰りが見え始める。彼は、自分を追い詰めたそのパイロット・コウウラキを「二度と忘れない」名前として心に刻むことになった。それでも事態は進み、星の屑も終盤へと差し掛かると、彼はデラーズを通じてアクシズと接触、新型MAを譲り受け、これをして再び「連邦の亡者どもを薙ぎ払う」決心を固めている。そしてこの新型のお陰もあって、悲願のコロニー落しは無事完遂せしめているが、それでも敗残兵の運命は変えられず、コロニーの侵入角度の調整の最中、あのコウウラキによって撃たれ重症を追った。直後ノイエ・ジールを退かせると、敵艦に機体をぶつけ、壮絶な玉砕を遂げている。ガンダム史上最強のサムライであった。
「我々の真実の戦いを、後の世に伝えるためにッ!!」

エギーユ・デラーズ大佐〜中将

軍幹部・高級将校 旧ジオンの名将として、「ギレンザビの亡霊」とまで呼ばれる眼光の鋭い男。彼の親衛隊長まで勤める総帥崇拝者で、戦後も自室に胸像を飾っていた。一説によれば、あの悪名高いブリティッシュ作戦の提唱者は彼だったという。遡ること、一年戦争の最終局面たるア・バオア・クー海戦時、彼はギレン戦死の訃報を聞くや、それをキシリアの仕業であると即座に看破。多数の兵を連れて暗礁空域に撤退し、いつの日かの再起を志した(ギレンにコチコチながら、ドズル派マハラジャ勢たるハスラー少将とは気が合い、更にキシリア派たるシーマを受け入れるなど、現実的な柔軟性は高かった)。潜伏後は「茨の園」を設営、デラーズ・フリートを結成し、アクシズやアフリカなど残党軍と結託して、星の屑作戦遂行を図り、ガトー以下の優秀な将兵の活躍で観艦式襲撃を成功させた。しかし、作戦の総仕上げたるコロニー落しにおいて、戦力増強のため戦列に加えたシーマの謀反に遭い、志半ばで射殺されている。あるいは縄目の恥辱を受けるより、彼にとってはこれで良かったのかも知れない。あの世で総帥と仲良くやってください……。
「ゆけ…ガトーよ !!」

ケリィ・レズナー大尉

一般兵・パイロット 『0083』のランバラル。かつてはガトーと共にソロモン海戦に参加して、ビグロを駆って活躍するも、ソーラ・システムの発射に巻き込まれて左手を失っている。戦後はジャンク屋のオヤジとして月に住むが、物足りない日々にモヤモヤを募らせていた。そこにある日突然現れた連邦兵、コウ。脱走兵ながらも彼はケリィにMS乗りとしての「何か」を教え、彼の手を借りて旧ジオン軍のMAを完成させたケリィは、月に停泊するアルビオンにガンダムとの一騎討ちを申し入れる。しかしその前に現れたのは、他でもない共にこのMAを直したコウの姿だった。戦闘はガンダムを優位に展開して、一時はリーダーによる電撃でガンダムの動きを止め、技術とキャリアの差を見せ付けるが、結局は連邦最強の機体を前に敗北、かつての戦友の恋人たるニナをその目に捉え、静かに息を引き取った。ガトーにニナ、そして彼というのが、三年来の遊び仲間だったらしい。

シーマ・ガラハウ中佐

中級司令官・艦長 キシリア麾下の海兵。しかしその卑劣なやり口からアクシズ行きを拒まれた、心に傷持つ快傑熟女。喰うために海賊となって、地球圏を暴れ廻っていたところを、艦隊の戦力増強を目論むデラーズによってスカウトされた。一度は彼に忠誠を誓ってみせるも、その本心は別にあり、こちらはこちらで独自に連邦の幕僚と接触すると、密かに裏切りの手筈を進め、そしてコロニー落し作戦が始まるに到り、いよいよその牙を剥いた。グワデンのブリッジを制圧して、バスクオムと協調する彼女だったが、この時点において既に命運は尽きていた訳で、コウとの戦いはそれにケリを着けたに過ぎない。3号機の砲門に引っ掛かった次の瞬間、彼女の機体は消し飛んでいた。前次大戦においては、コロニーへの毒ガス注入などの汚い仕事を主任務としており、いざ敗戦となれば、高官たちは自分たちの存在を隠匿しようとする。そんな理不尽さからの、いわばデラーズへの私怨ではない、怨念渦巻く下克上の陰謀であった。
「おまえは一体どっちの味方だァッ!!」←お前が言うなー